暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epico26次元世界を侵すモノ〜Antiquitas Phantasia〜
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代前半ほどで、髪型はシアンブルーのインテークで、背中まで伸びる後ろ髪の毛先は外に向かってカールしている。それとアホ毛が一房、ピョンっと立っている。

「あ、ヴァスィリーサ少将!? どうして集中治療室(ここ)へ・・・?」

姿を見せたのは“エグリゴリ”の三強の一角、リアンシェルト・ブリュンヒルデ・ヴァルキュリアだった。今は本局の少将として運用部の総部長の役職に就いている。そんな彼女の出現に、たまたまそこを通りかかった医務官が驚きを見せた。リアンシェルトは基本的にオフィス区画から出ないからだ。そこ以外でリアンシェルトと出逢うと良い事がある、などという噂もあるほどだ。

「お見舞いです。すぐに去りますから気にしないでください」

「あ、はい・・・」

抑揚のない声でそう言われた医務官はすぐさまその場を後にした。見た目は可愛らしくも少将の階級を持ち、次元世界最強とまで噂される氷結系魔導師として、古参の局員には畏怖されている。ルシリオンの病室の前にひとり佇むリアンシェルト。彼女の視線はルシリオンに向けられていた。

「愚かですね、無様で、哀れで、どうしようもない。レーゼフェア、フィヨルツェンならまだしも、いきなりシュヴァリエルと衝突するなんて・・・。何を思って仕掛けたのかは解りませんが、それは単なる自殺行為・・・」

リアンシェルトが窓ガラスに手を添えたかと思えば、「ふざけないでください・・・!」軽く叩き、ギュッと握り拳を作った。苛立っているのかリアンシェルトは拳を、いや全身を震わせている。

「一歩間違っていれば、神器王、あなたは死んでいた・・・! 実際、あなたは再起不能の遷延性意識障害だと診断されてしまっている・・・!」

俯いている所為でリアンシェルトの表情は見えない。ただ声は震えている。よほど苛立っているようだ。身の丈に合わずいきなりシュヴァリエルと戦った無謀な行為に対して。リアンシェルトはそのまま病室へと入って行った。それは完全な越権行為。集中治療室の病室内への入室は医務局員だけに許されているからだ。いくら少将と言えど、許可なくの入室は許されない。

「こんなに・・・痛々しい姿になって・・・」

リアンシェルトがルシリオンに装着されている人工呼吸器に手を掛け、外した。ルシリオンの自力呼吸が弱まっている今、それは殺人に近い行為だった。

「いいですか神器王。次はありません。次にシュヴァリエルと戦えば、今のあなたでは確実に負け、今度こそ死ぬでしょう。悪い事は言いません。相手を変えなさい」

ルシリオンの心電図に変化が見られる。死へと近づいて行く彼の状況を示し始めた。リアンシェルトはそれを横目で見た後、「だから・・・このような無謀な真似はもうしないでください」と、俯いていた顔を上げた。その表情に怒りの色は一切な
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