第2章 夜霧のラプソディ 2022/11
15話 虚像と齟齬
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なっちゃったから………」
「そいつの外見とか、覚えてるか?」
「えっと、肌が見えないくらい全身金属鎧で固めてたから、よく分からないよ。バケツみたいな頭装備で声も籠ってたし………」
完全に手掛かりが途絶えた。これではレイ達に情報提供したプレイヤーを追えない。だが、他にも被害者がいるのならばアルゴに伝え、調べあげてもらうのが最善の手段かも知れない。
「ありがとな………それと、嫌な思いさせて済まなかった」
礼と謝罪を告げ、この場を後にする。
高級物件から外に出ると、ドアのロックがオートで施錠される小気味良い音が背後から鳴る。メニューウインドウに表示された時刻はいつしか午前七時を回り、多くのプレイヤーやNPCが賑わいを見せている。気付けば二十四時間超の労働をしたわけで、先のレイとの遣り取りが終わったこともあり、どっと疲れが押し寄せてくる。すぐにでも帰宅してベッドにダイブしたいところだが、アルゴへの報告を優先して、そのままメールウインドウを開き、《レイ達より先に被害者がいた事》を端的に纏めてアルゴにダイレクト・メッセージを飛ばす。フレンド登録をしていればフレンド欄から宛先として即座に選択出来たのだろうが、生憎、フレ登録を済ませているのはヒヨリの方である。まあ、送れれば何でもいいのだが。では、あとは《鼠》の腕を信用して………
「………早過ぎるだろ」
視界右側に点滅する紫のアイコンに困惑する。まだ送信して一分もしてないのに返信が返ってくるとは思いも寄らなかった。やむなく、メールアイコンをクリックすると、比較的短めの文面が目に入る。
【Re:新情報確保】
遣い回しの見出しに欠伸を零しながら、その下に連なる本文に目を落とす。しかし、その内容に眠気が消失する。
文面には、《エルフを集める非実体系モンスター》や、他数種に及ぶ、《召集》スキルに類似した情報が箇条書きで並べられ、結びに《どれもフルプレートの重装備ソロプレイヤーの証言であるとのこと》と添えられていた。先のレイ達の証言とも情報源の部分で共通点がある。
恐らく、情報源のプレイヤーはどれも同一と見て相違ないだろう。
ただ、問題はそのプレイヤーについての情報が極めて乏しいという点だ。解っている事といえば、第三層が有効化された初日、つまりは一昨日なのだが、レイ達が狩りを行うより街へ引き上げていたプレイヤーであることと、重装備であること。最速で第三層に到達できたであろう前線プレイヤーであればアルゴがピンとくるところであろうが、そうでなければ残念ながら《街開き》で押し寄せたプレイヤーのうちの一人ということになる。重装備の特徴も、顔が分からない以上はアテになるものではない。
「どうしたもんか………―――ッ
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