第8話 驚愕
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後藤邸を後にして象二郎を先頭に武市は後ろをゆっくりと歩み土佐城へ辿りついた。
「本当に容堂公と会うつもりか?」
象二郎は武市に言った。
「勿論だ。容堂公にお願いしたいことがあるのでな」
武市は土佐城を見上げて言った。
「お前の願いとなんだ?」
象二郎は武市を睨みつけ問いた。
「お前が知る必要はない。さぁ、さっさと交渉してこい。変な真似をしたらどうなるかわかっているだろうな?」
武市は象二郎の右肩に手を置いた。
後藤邸には以蔵を待機させていた。もし、武市が無事に戻らなければ以蔵が象二郎の家族を探し出し皆殺しにあう。
「わかっている」
象二郎と武市は並んで歩いて行った。
門の前には二人の門番が立っていた。
「後藤象二郎、容堂公にかきゅうの用があり参上仕った」
門番に象二郎は大声で怒鳴るように言った。
「何事でござるか?参事殿。こんな時間に」
門番の一人が象二郎に近寄ってきた。
「容堂公へどうしても会ってお知らせせねばならぬことがあるのだ」
象二郎の必死の表情に門番はただ事でないことを察した。
「わかり申した。しばし、待たれよ」
門番の一人が中に入っていた。
数刻たち門番は中からでてきた。
「参事殿の大事だということを伝えて参ったところ、殿は通せとのことでしたので案内のものがすぐに参ります」
門番は象二郎に告げた。
「わかった。では、待つとしよう」
象二郎は腕を組んだ。待つ時間がかなり長く感じられた。
「参事殿、こちらへ」
茶坊主が大広間へ象二郎と黒ずくめの男を案内した。
(はて、この男の顔、どこかで?)
茶坊主は首を傾け部屋から出て行った。
「象二郎、待たせた」
寝具のまま山内容堂が部屋に入ってきた。
象二郎と黒ずくめの男は深々と礼をして容堂を迎え入れた。
「面をあげるがよい。象二郎、こんな時間に急用とはどういう了見だ?」
容堂は象二郎に問いかけた。
「そ、それ・・・・・・・・・・・・」
「お久しゅうございます。容堂公」
象二郎が言い終わる前に土下座をしていた男が顔を上げた。
「お、おまえは!!」
その男の顔をみて容堂は絶句した。
「しょ、象二郎、これはどういうことか!!」
容堂は刀をすぐさま取り身構えた。
「これはこれは。また再び私を切りますか?」
武市はにやりと笑った。
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