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夢のような物語に全俺が泣いた
戦争遊戯
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そちらを見上げればいつぞやの体格の良い男…カヌゥとその取り巻きが立っていた。
やはりカヌゥ達も腕輪をしていなかった。

「お…前…ら……腕…輪は……どうした…!」

「ああ?腕輪ぁ?
そんなもん誰が好き好んで着けるんだよ!」

「そうそう。
装備者のスキルを封じるなんて、つける意味ねぇだろ!」

「バァカ、意味ならあるだろ?
こいつが今その意味を発揮してくれてるんだからな!がぁはははは!」

スキルを…封じる?
なら剣が召喚出来ないのも…魔法が発動しなかったのも…この腕輪が原因だったってことなのか…!

「くっ……そ!」

俺は腕輪を外そうとする。
しかし腕輪は接着剤で取り付けたかのように張り付き、取ることすら叶わなかった。

「無駄無駄!その腕輪は誰かに外して貰わないと取れないようになってんだよ!」

何処の呪いの装備だよ…!
俺は腕輪を外すのを諦め、ヨロヨロと立ち上がった。

「おお?まぁだやるのか?」

「久し…ぶりだよ……こんな理不尽を…受けたのは…はぁ…はぁ…」

「理不尽?そりゃ違う。
一方的な殲滅なんだよ弱小ファミリア!」

「がはぁっ!?」

鳩尾に鋭い蹴りが叩き込まれ、息を吐きながら後ろに倒れる。

「何で攻城戦なのにお前一人に狙いを定めてんのか分かるか?」

「くっ……はっ……………げほっ!」

ビシャァっと吐血をし、胃の中に溜まった血液を吐き出す。
既にこの男が何を言っているのかさえ理解できない。
目が眩み、体の節々からはドクドクと血が流れている。

「理由は簡単だ。お前が気に入らねぇからだよ!」

「ブッ!?」

頭を踏まれ、地面に顔を擦り付けられる。

「はははは!汚ぇ顔だぜ!」

男たちの笑い声が聞こえる……。
そう言えば…サチコちゃんは無事だろうか?
あの子も俺と同じで腕輪を着けていた…。なら同じようにスキルを封じられているだろう。

「そういやぁもう一人小娘が居たな。
あのガキも存分にいたぶってやらなきゃなぁ!」

……今……何て言った?
サチコちゃんを…いたぶるって言ったのか…?
本来この件は俺の我が儘が招いた事態なのに…付き添いと変わらないようなサチコちゃんが俺と同じ様な目に遭うと言うのか…!?
そんなの…そんなの――

「やらせるかぁぁぁあ!!!」

「なっ!?こい…ぐふぇっ!?」

俺は全力で立ち上がり、全力でカヌゥの顔を殴った。
カヌゥは確りと地面を転がり、仲間に支えられる形で受け止められた。

「あの子には…指一本触れさせねぇ!
死にたいやつだけ前に出ろ!スキル封印なんざ関係ねぇ!
全員まとめて相手してやる!」


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