暁 〜小説投稿サイト〜
学校の小さな防人
ACT.3 「自然体験学習 DAY.1」
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早速できた詰所のチェアに座り、置いてある大型無線機に手を伸ばす。

「こちらS-31。S-32、S-24、警備状況知らせ」

S-31とは長門のコールサイン(味方間での識別名)で、Southを省略したSに、チーム3の隊長という意味で31を付けたのがコールサインとなっている。芽衣ならば、チーム3の3番隊員なので、S-33となる。

チーム3の副隊長、真田とチーム2の4番隊員、大城は通信が繋がった数秒後に応答した。

「こちらS-32及びS-24、警備状況は良好。いまから下山する。夜はカレーだ。ご飯炊いとけ。オーバー」

通信終了の符号、「オーバー」を残し、真田の声は電子音によって途切れた。

通信用のヘッドセットを通信機のホルダーに戻し、通信機の電源を切る。

腕時計を見て見ると、現在時刻は午後5時8分。皆での夕食は午後7時からと考えると、米は早めに炊いといた方がいい。

「おーい、芽衣」

大声で呼ぶと、テントに潜って遊んでいた芽衣はひょっこりと顔を出した。

「どうしたの?」

「木下、新城と一緒に白米を炊いてくれ」

「長門君は?」

「登山コースの入り口まで行ってくる。二人だけじゃ心配だからな」

芽衣はりょーかいだよー、と伸びた声を手を振りながら上げた。新城と木下も手を振り、やっとくよー、と声を上げた。

振り返り、入り口がある方向を向いた。広大な草原の一角にある登山入り口は木の影で暗く、その先は密林が広がっている。逆の方向…今まで向いていた方向の先には陸上自衛隊の東富士演習場が広がっている。その証拠に、時々草原全体に響き渡る大きな砲声が聞こえてくる。

入り口までゆっくり歩いていると、木と木の間に懐中電灯の明かりが登山コースの方から見えた。

入り口に置いてあるベンチに座り数分。待ち人達は入り口まで戻ってきていた。

「おぉ、長門ぉ」

先頭でゴールラインを切ったのはM4A1を両手に保持した真田だった。帽子に付けたCQB/65暗視装置を目の位置に下ろしている。

そのうちに、155名の生徒全員は全員広場に整列し、点呼をしていた。それが終了すると、登山の荷物を自分のテントに置いた生徒達が夕食の仕度をし始めていた。

……………………………………………………

カレーを係が配り終わり、皆机に着く。

学年主任の掛け声で「いただきます」と号令した瞬間、生徒全員がスプーンを取り、カレーをかき込み始めた。登山で疲れているのか、皆良く食べ、余分に作ったカレーのお代わりもたった10分で無くなった。

SDFの面々も、詰所にてカレーを食べていた。食事中の会話の内容はほぼこれからの警備計画についてだった。特に夜は、テントから抜け出し他のテントに遊びにいこうとする輩が居るた
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