第五十三話【sts編その2】
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っ…守れなかった…ヴィヴィオがっ…わたしっ!」
ついには泣き出してしまった。
「うあっ…うあああああぁぁぁぁぁぁっ」
ヴィヴィオについて、わずかばかりだが、病院のベッドで治療を終えたシャーリーから話は聞いていた。
なのはさんにとてもよく懐き、慕っていたと。
それ故に自分の手元から離すのを躊躇うくらいにはなのはさん自身もヴィヴィオの事が好きだったのだろう。
二人で手を繋いで歩くその姿は本当の親子のようだったとシャーリーは語った。
攫われたのならば殺す事は無いだろう。
どう言った理由で攫ったのかは分らないが、ヴィヴィオには利用価値があったのだろう。
ならば現状で命の危険は無いはずだ。
…命の危険だけは。
「それで?なのははどうするの?」
「どっ…どうって…?」
俺の言葉に嗚咽を抑えて問い返した。
「ヴィヴィオが攫われた。でもそれで、なのははどうするの?ただ泣いているだけ?」
「もちろん助けるよっ!絶対っ…何があっても助けて見せる」
「うん」
「その為にはやてちゃんが無理をしてわたし達が現場に行ける様に調整してくれている」
「うん」
「わたしははやてちゃんを信じてる。だから絶対ヴィヴィオを助けるチャンスはあると思うっ!」
「うん。だったら大丈夫だね」
「っえ?」
「大丈夫。きっとヴィヴィオを助けられる」
なのはさんに近づいて人差し指の甲で両頬を流れる涙を掬う。
「うぐっ…」
涙を掬われるのは恥ずかしかったのか、なのはさんの口からそんなかわいい声が漏れた。
「助ける力も、助ける機会もあるのなら、後は全力で頑張るだけ。大丈夫、なのはには助けてくれる仲間がいっぱいいる。絶対大丈夫だよ」
「………ありがとう」
うわー、我ながら臭い台詞だったわ…でもまあ、効果はあったか?
しばらくすると、自分の現状を確認できるくらいの精神状態を取り戻したらしいなのはさんが今度は真っ赤になってうろたえている。
「わわわっ!?わたし!?なんて事を!?まさか人前で泣いちゃうなんて!それに男の人に慰められちゃうなんて!?」
一通り騒いだ後どうにか落ち着きを取り戻したなのはさんは、どうにか忘れようとして話題を変える。
「そっ、そう言えば、アオ君達がここに居るって事は戻るために必要なアイテムは手に入ったって事?」
「そうだね。確実に帰れるとは言えないけれど、多分大丈夫じゃないかな」
竜王アイオリアが俺自身だった場合、俺自身がいつの日かあの本を記した事になる。となれば、彼は帰ったはずだ。あの、母さんが居る海鳴へ。
「そっか…いつ帰るの?」
「…そうだな。直ぐにでも…と言いたい所だけれ
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