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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
11.剣の姫が掴むもの
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あの長期間使用はおそらく学術魔法を習得したからこそ可能だったのだろう。

「即戦力を求めるか、将来を見据えるか……判断基準はそんな所か。エルフは長命だから学術魔法を齧っている者もそれなりにいるぞ。私もその一人だ」
「じゃあ、リヴィエアもあれが出来る?」
「………残念だが難しいだろう。アニエスを間近で見て分かったが、あの子の精神力は桁違いだ。流石の私も一時間ぶっ続けで学術魔法を使役したら精神が持たないよ。流石は正教の………っと、これは余計か。それよりも――」
「なに?」
「キャンプに戻ってからいつも以上に元気がないな。どうした?」

 少し、アイズは驚いた。
 確かに少し気落ちしていたが、それを他人にズバリ指摘されるとは思っていなかった。その様子を見たリヴィエアは苦笑した。
 普段の彼女はそもそも、人に声をかけることなどあまりない。それにアニエスを眺めているときの彼女の瞳には、微かな焦りのようなものが揺れていた。今までは無茶なダンジョン潜りを無茶とも思わず続けていたような子だったが、今回は悩みに対して自分から動こうとする意識があったのだ。だからリヴィエアもその異変に気付けた。


「よかった。アイズも偶には悩みを隠しきれない時くらいあるみたいだ。………よければ、聞かせてくれない?アイズの悩みをさ」

 ロキも気付いていたろうに、最初に口を出しそうな主神が何も言わないのを不思議には思ったが、リヴィエアは敢えてアイズの悩みに踏み込むことにした。この子は昔から溜めこむ癖があるから、これを機にもっと話してほしいものだ。
 アイズは一瞬目を伏せて考えたが、直ぐに顔を上げた。

「………うん、わかった。実は――」


 その日、彼女は自分の感じた無力(ほんね)を仲間にぶちまけた。



 = =



「一週間後かぁ………」

 エタルニア公国軍総本山、エタルニア城の一角。武装した兵士たちの固める要塞の一角に、周辺の部屋と一線を画す場所があった。その場所こそ、公国軍総司令官の娘であるイデア・リーの自室だ。

 天蓋付きベッドにドレス類などのいかにもお嬢様といったアイテムと、彼女が趣味で持っている様々な刀剣や盾などがなんともミスマッチな部屋だ。そもそも自室に剣を大量に飾ってある時点で、彼女の趣味や価値観が平均的な少女とかけ離れている事が分かるだろう。

 その部屋をウロウロしながら頭の黒いリボンを揺らすイデアの表情は真剣そのもの。
 今、彼女は大きな試練の壁を目の前にその覚悟を試されていた。

「いつかはあたしも立派な公国軍に……とは思ってたけどさ。今回は流石に意味話分かんないなぁ……」

 ついこの前、イデアは突然父に呼び出された。
 無口でガンコで口下手で娘の事をちゃんと見ているのかよく分
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