第六章
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庄汰に差し出してだ、こう言った。
「どうぞ」
「有り難う」
庄汰は受け取った、二人共視線は絵とスケッチの対象である風景にある。そして手も描き続けている。そのうえでだ。
絵の具のやり取りをした、そして。
庄汰は描き終えてからだ、その絵を潤子に見せて問うた。
「どうだろうか」
「そうね、赤を集中的に使ったのはね」
「いいか」
「冒険ね」
「冒険か」
「ええ、そう思うわ」
それになるというのだ。
「赤は派手だからね」
「目立つな」
「目立つ様にしたの?」
「インパクトのある絵を考えた」
「それで赤を多くしたのね」
「そうしてみた」
「それは確かに冒険ね」
まただ、潤子は冒険だと言った。
「かなりの。ただね」
「ただ、か」
「その冒険がね」
「どうなっている」
「上手くいってるわ」
そうだというのだ。
「あんたの考え通りね」
「インパクトが出ているな」
「否応なくね、ただ」
「ただ、か」
「赤ばかり出ていて」
「インパクトばかりだな」
「対比がないわね」
絵の中にというのだ。
「もう一つ赤とは正反対のね」
「青やそうした色がな」
「あればね」
それで、というのだ。
「また違った印象だったわ」
「そうだったのだな」
「よりよくね」
「対比によってだな」
「インパクトが出てたわ」
絵がだ、そうなっていたというのだ。
「その場合はね」
「そうか、ではな」
「次の絵はなのね」
「その対比を使ってみる」
「青を使うのね」
「確かにな」
庄汰自身もここでこう言った。
「この絵では青等は使っていない」
「そうよね、赤がかなり多くて」
「黄色や黒、白は使ったがな」
「赤との対比だとね」
「やはり青だな」
「ええ、それもあるとね」
「そういうことだな」
潤子の言葉を聞きつつ頷くのだった。
「では次だ」
「それじゃあ私の絵も見て」
「どんな感じだ」
「私はね」
見ればだ、潤子の絵は。
今度はダリを思わせる画風になっている、その絵を庄汰に見せてそのうえで彼に問うたのである。
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