暁 〜小説投稿サイト〜
スケッチは二人で
第四章

[8]前話 [2]次話
 庄汰にだ、彼のクラスメイト達が教室で笑って聞いたのだった。
「なあ宮崎、御前な」
「何か部活で楽しくやってるらしいな」
「転校生と付き合ってるって?」
「いつも一緒にいるらしいな」
「確かにいつも一緒だな」
 庄汰もこのことは否定しなかった。
「最近は」
「おっ、認めたか」
「じゃあ付き合ってるんだな」
「御前その娘とか」
「転校生と一緒にいるのか」
「交際はしていない」
 このことは否定するのだった。
「僕はな」
「じゃあ何なんだよ」
「いつも一緒にいるんだよな」
「それで付き合ってないのか」
「交際じゃないっていうのか」
「部活で一緒にいるだけだ」
 こう言うのだった。
「デートや一緒に食事を食べたりとかはだ」
「していない」
「そう言うんだな」
「彼女にも聞くといい」
 相手とされる潤子にもというのだ。
「こう答える筈だ」
「じゃあ何なんだよ」
「御前あの娘とどういう付き合いしてるんだよ」
「いつも部活の時一緒だっていうのに」
「じゃあ何なんだよ」
「友達だ」
 それになるというのだ。
「僕達はな」
「友達かよ」
「それかよ」
「そうだ」
 はっきりとだ、庄汰は言い切った。
「僕達はな」
「そうなのかよ」
「何かな」
「男と女の友情か」
「それなんだな」
「少なくともキスもしていないし将来そのつもりもない」
 全く、という口調だった。
「このことも彼女に聞くといい」
「その言葉はあっさり過ぎるだろ」
「そこまで言うか?」
「折角囃し立てようって思ったのにな」
「そうあっさり返されるとな」
「どうしようもないな」
 何も言えないというのだ。
「ちょっとな」
「御前手強いな」
「そこであっさりそう言うなんてな」
「普通言えねえぜ」
「普通かどうかはわからないが僕は僕だ」
 全く動じずに言った言葉だ。
「そして嘘を言うつもりはない」
「まあそこまではっきり言い切るとな」
「嘘じゃないってわかるよ」
「本当にあっさりだからな」
「言ったからな」
「事実だからな」
 目も泳いでいない、そのうえでの言葉だ。
「そうだ、僕達は友達だ」
「それで友達としてか」
「そのうえでか」
「一緒にいる」
 こう言うだけだった。
「それだけだ」
「友情ってやつか」
「そっちか」
「そうだ、君達と同じだ」
 クラスメイト達と、というのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ