第二章
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「クラス章は二年の色か」
「ええと、三組か」
「あんな娘いたか?」
「うちの学校に」
「今日転校してきたんだよ」
潤子の方から言って来た。
「そうしたんだよ」
「ああ、そうか」
「転校生なのね」
「誰かって思ったけれど」
「そうだったの」
「親の転勤でタイから戻って来たんだよ」
笑って言う潤子だった。
「タイ語だって喋れるよ、それで絵を描くのが好きだから」
「それでか」
「うちの部活に入るのね」
「美術部に」
「そうなの」
「そうだよ、じゃあ皆宜しくな」
勝気な感じだが明るくも言う潤子だった。
「これから」
「ああ、じゃあな」
「これからね」
「宜しくな」
部員達もその潤子に挨拶をする、だが。
庄汰は潤子を一瞥しただけだった、後は関心を向けなかった。そのまま彼の絵に集中した。その彼にだ。
潤子は横からだ、部室で彫刻のスケッチをしている彼に問うた。
「あんた二年生だね」
「そうだ」
絵を描きつつの言葉だ、顔もそこに向いている。
「四組だ」
「じゃあ隣のクラスだね」
「そうだな」
「それで名前は?」
「宮崎庄汰」
名乗りはした、ただ機械的な口調だ。
「覚えておいてくれ」
「そうか、じゃあ宜しくな」
「そうだな」
「隣の席に座っていいかい?」
「勝手にすればいい」
やはり機械的に言うのだった。
「僕はこちらに集中している」
「そうだね、じゃああたしもね」
潤子もと言ってだ、そして。
実際に彼の隣の席に座って描くのだった。それはこの日だけでなく。
次の日もだった、それから描き終えるとだ。
潤子は庄汰にだ、自分のスケッチを見せて問うた。
「どうかな、あたしの絵は」
「それが君の絵か」
「そうだよ」
こう笑顔で言うのだった。
「描いてみたよ」
「そうか、それでか」
「ちょっと感想欲しいけれどな」
「悪くはない」
簡潔にだ、庄汰は答えた。
「ポイントを抑えてある、写実的だ」
「つまり上手いってことだね」
「そうだ、しかし」
「しかし?」
「独創性がないか」
こうも言うのだった。
「いささか」
「独創性が?」
「それに欠けるか」
「つまりあたしらしさが出ていない」
「絵は様々だ」
庄汰は淡々として語っていく。
「そうした上手なだけの絵の他にもだ」
「色々あるから」
「色々と描いていけばいい」
「じゃあピカソとかダリみたいにもか」
「描けるのなら描けばいい」
こう潤子に言うのだった。
「どんどんな」
「成程ね、ただ写実だけじゃなくて」
「僕も今は写実だが」
「それでもだね」
「ピカソみたいに描くこともだ」
「ゴッホもいいんだね」
「真似るのもいい」
そうした過去の画家達の画風
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