5部分:第五章
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第五章
「だからな。それはな」
「受け入れてか」
「それしかないだろ。けれど付き合いは続けるからな」
「そうなるんだな」
「そうさ。とにかくな」
ドボルスキーはまた言ってきた。
「いいな」
「ああ、俺達か」6
「確かに俺達の国は手に入れたさ」
それはだというのである。
「けれどな。それでもな」
「まだ何かあるのか?」
ヤナーチェクはいぶかしむ顔になってドボルスキーに返した。
「独立しても」
「その独立を守らないと駄目だろ」
「それをか」
「独立してはい、終わりじゃないだろ」
「ああ、そうだったな」
言われてだ。ヤナーチェクも気付いたのだった。
「そういえばな」
「そうだよ。本当にこれからなんだよ」
「独立してもそれを守っていかないとか」
「じゃあ聞くがな」
「ああ」
「またソ連の下につきたいか?」
ヤナーチェクに対して尋ねたのはこのことだった。かなり具体的な話だった。
「もう一回あの国に。どうだ?」
「それは嫌だな」
ヤナーチェクの返答はすぐだった。
「やっぱりな」
「そうだろ?やっぱりそうだろ」
「ああ、よくわかった」
こうドボルスキーに対して返した。
「守らないといけないか」
「で、言うけれどな」
ドボルスキーは笑顔になった。そのうえで次の言葉を出した。それは。
「これからだからな」
「これからか」
「ああ、俺達はこれからはじまるんだ」
そうだというのだった。
「何もかもな」
「わかった。じゃあ今度は」
「独立を守っていくぞ」
また言うドボルスキーだった。
「そえでいいな」
「それしかないしな」
「そういうこそさ。じゃああらためて飲むか」
言いながらジョッキを手に取る。そこにあるのはビールだった。黒ビールをその中にたたえているその黒ビールを飲もうとするのだった。
そしてだ。二人で言う。
「これは独立の祝い、そして」
「それを守る為のこれからの為の景気付けだな」
「そういうことだな。それじゃあ」
「ああ、今から」
二人で笑い合い。そしてだった。
「乾杯!」
二人でジョッキを打ち付け合ってそのうえで飲むのだった。彼等の長い戦いは終わった。そしてあらたな戦いがはじまるのだった。
遠ざかった春 完
2010・9・27
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