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大統領の日常
本編
第三十一話 準備
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えてもらいたいな。一番印象に残ったのはあの黒さだ。ああいう風に船を黒に塗るのもいいかもしれない。夜戦なんかではステルス迷彩としても使えるだろう。

「そこで少将には私の指揮下に入ってもらいたい」
「閣下の指揮下に・・ですか・・・」
「そうだ」
「それは一時的なものでしょうか?」
大統領は少し考えると口を開いた。
「実はな、少将には第一艦隊の第二分艦隊司令官に就任してもらうことになっていてな」
第一艦隊の司令官!?第一艦隊といえば総司令官や大統領が指揮を執るエリート艦隊ではないか。
それも分艦隊司令官?俺なんかに努めるだろうか・・・
「第一艦隊の分艦隊司令官ですか・・」
「そうだ。前任のアイゼナッハ少将が中将に昇進して第十二艦隊司令官に就任したから第二分艦隊司令官の席が空いていてね。もちろんこれは本部長にも許可を得てある、正式なものだ」
「はぁ・・・承知しました。第一艦隊第二分艦隊司令官の任お受けいたします」
俺がそう言うと大統領は喜ぶような表情はせずに話を進めた
「そうか。一件が片付くまでは混乱する可能性がある。呼称は第三独立艦隊のままでいいかな?」
「かまいません」
「では、正式に発表はしていないが、第一艦隊所属になったわけだし、名誉司令官である私は少将を指揮下に置くことが合法的にできるというわけだな」
大統領は先ほどとは違い無邪気な笑顔で言った。これは・・・
「・・・そういうことになりますな」
「改めて、言おう。ビッテンフェルト少将以下第三独立艦隊は私の指揮下に入ってもらいたい」
「・・・御意」
「では話を進めよう」
俺は姿勢を正して大統領に目を向けた。

「私は二日後にここを出発するつもりだ」
賢明な判断だろう。ここは前線にほど近い場所だ。あまり長くいるのは危険だろうし、万が一大統領がここにいることが敵に知られたら大変なことになる。ということは俺に用事とは首都まで行くのに同行せよということだろう。そしておれの任命式でもやるに違いない・・・
「では首都に戻られるのですか。それに私も同行せよ、と」
俺の言葉に大統領は首を振った。はて、ではどこへ行くというのだろうか。また出撃でもするのか?
「私が向かうのは確かに首都だ。ただし”敵”のな。それに少将にも同行してもらう」
敵の首都に向かう!?攻め入るということか?そんな危険すぎる・・・
「お言葉ですが閣下、敵の首都に攻め込むのは危険すぎます。第一大統領自ら指揮を執る必要はありますまい。実動部隊総司令官のケーニッツ元帥らにお任せになればよろしいではありませんか」
俺の言葉に大統領は少しも反応しなかった。
「少将。私は君に意見を聞いた覚えはない。これは提案ではなく命令だ。大統領、国防委員長、最高司令官の、な」
「・・・・・勝てるとお思いなのですか」

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