第十五章 忘却の夢迷宮
第四話 混沌の朝食場
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立てかけていた場所へと視線を向けた。すると、カチャカチャと独特の金属音が聞こえてきた。
「なんですかい? “自称相棒”の俺に何かようですかい?」
「……剣が拗ねるなよ」
誰が聞いても機嫌を損ねてすねている声を上げるデルフリンガーに、士郎が呆れた声を上げる。
「拗ねたくもなるぜ全くよう。いっつもほったらかしにするくせにこういう時だけ声を掛けてくるなんて」
「まるで都合の良い女ね」
「おう。わかるかい姉さん」
「こちらとしては人ごとに見えないし」
同情を示す凛に、デルフリンガーは喜びの声を上げる。凛は腕を組んだ姿で深く頷きながら士郎をジロリと睨みつけた。
士郎は明後日の方向を見ながら紅茶を飲んでいる。
「そりゃこんな相棒が恋人なら色々と心配だろうな」
「多分あんたの想像以上だと思うけど……ま、それはいいとして、で、結論から聞くけど、士郎が見たっていう“夢”だけど、あんたも話は聞いてたでしょ。どうなのよ? 士郎が見たっていうブリミルとやらの“夢”は唯の“夢”なのか、それとも本当にあった出来事なのか……」
視線を逸らす士郎に一発かまそうか迷った凛だったが、小さく溜め息を吐くとデルフリンガーに顔を向けた。どう上手く聞き出そうかと若干緊張しながら声を掛けるが、返って来た言葉は軽いものであった。
「そのリショブンとやらが何なのかはわかんねえが、ま、ほんとのこったろよ」
「……随分と簡単に言ってくれるわね」
もう少し手こずるかと考えていた凛は、肩透かしを食らったかのように呆気に取られたような顔を一瞬浮かべた。
「とは言え、全部が全部全く同じとは思わんが。相棒が持つ“ルーン”の記憶が夢として現れたんだろうよ」
「なら、やっぱり本物である可能性は高いのね……ああ、もうほんっとに最悪……」
「凛?」
突然両手で顔を覆いテーブルに突っ伏した凛の姿に、士郎が戸惑いの声を上げた。凛は士郎の心配気な声に反応することなく、頬杖をつきながら危険な光を瞳に宿しながら射抜くような視線をデルフリンガーに向けた。
「はぁ……で、デルフだったかしら? いい機会だから洗いざらい知ってることを話しなさい。特に“守護者”っていう言葉に聞き覚えがあるのは全部吐きなさい」
「おいおい姉ちゃんそんな怖い顔するなって。残念ながら随分と昔のことだからな。ブリミルたちが何食ってたかとか、下らない事で喧嘩してたとかそういったのはチラチラ覚えてんだが。肝心なことは不思議な事にサッパリ覚えてないんだわ。ああ、そうそう、ブリミルはニンニクが苦手だったんだが、誰かが作ってたニンニク料理は普通に食べてたな」
「ほんとどうでも良いわね」
どうでもいい情報に、凛は苦虫を潰したような顔を浮かべる。
「何かないのか? そう言え
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