第十五章 忘却の夢迷宮
第四話 混沌の朝食場
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エルフ”だった、ね……まあ、そちらの方は正直どうでもいいわ。私としては“ガンダールヴ”がオーガでもオークでも別にいいけど。問題は―――“李書文”よ。本物なの?」
“夢”の話を聞き終えた凛は、“夢”の中で最も気になっていた部分について説明を求めた。聞き出そうとしているのは士郎が見た“夢”について。通常ならば、ただの“夢”の出来事にそこまで神経質になるものではない。例えそれが魔術師であってもそこまでの食いつきはないだろう。
しかし、凛は何処までも真剣であった。
「ああ、あれは間違いなく“李書文”だ」
「……李書文は本人が写真嫌いだか何だか知らないけど、近代の人物の割に顔も姿も詳しいことはわかってないのよ。なのにあんたは証拠も何もなく、ただ“夢”で見ただけのその人物が本物だと言うの?」
「どうも妙な確信がな……証拠はないが、まず間違いないだろう」
「……正直その男が本物でも偽物でも構わないわ。問題はそいつが“守護者”だという点よ」
凛は士郎の“夢”の話を聞いた時、最も気になった。と言うよりも、最も重要な点について言及した。
「その前に凛は俺が見た“夢”が唯の“夢”だと思わないのか?」
「あんたはそれが唯の“夢”だと思ってるの?」
“夢”について、士郎はそれがただの夢なのか、それとも過去の何かに関わるものであるか未だ確たる実感がなかった。しかし、実際に士郎にとって、あれが本当にただの“夢”であるとは言い切れなかった。
「いや、それはないが―――」
「理由はそれだけで十分よ。あんたの勘は頼りになるからね」
「信じてもらえるのはいいが……何の確証もないままでは」
「ああっ! もうごちゃごちゃ五月蝿いわね。そんなに言うなら確かめて見ればいいでしょっ!」
ドンッ、とテーブルに拳を叩きつけた凛は、ズビシッ! と士郎に人差し指を突きつけた。
「確かめると言うが、どうやってだ?」
「なに言ってるのよ? あんたの相棒とやらは“初代ガンダールヴ”の剣だったんでしょ? そいつに聞けばいいじゃない」
「……あ」
腕を組み首を捻る士郎に、凛は小首を傾げながら『何でそんな当たり前のことを聞くのよ』とばかりに心底不思議そうな顔をする。そんな凛の言葉にやっとその理由について思い至った士郎は、思わず、と言った様子で言葉を漏らした。
「なに? 忘れていたの?」
「……さ、最近は色々と忙しかったから、な」
思いっきり視線を泳がせる士郎に、凛は思わず出そうになった溜め息を飲み込んだ。
「それはいいけど……デルフリンガーだったかあんたの“自称相棒”とやらは今何処にあるのよ」
「デルフなら料理の邪魔になるからとそこの壁に立てかけて……」
凛の言葉に士郎は、今朝料理に掛かる前にデルフリンガーを
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