第十五章 忘却の夢迷宮
第四話 混沌の朝食場
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決まってるでしょ。あんたのご主人様よ。良かったわね。あんな可愛い子の“使い魔”になれて」
「目が笑っていないぞ」
視線をルイズから士郎に変えた時、自分を見つめる目が何の光も反射しない闇を湛えていたのを士郎は気付いた。思わず硬い笑みを返しながら、凛の視線を遮るように顔の前で片手をふるふると振った。
「当たり前でしょ。ま、それは今はいいわ。それよりも、あんたが見たっていう“夢”について詳しく聞かせなさいロリコン」
「ロリコンって」
聞き捨てならない言葉に思わず口の中でその単語を呟く士郎を、凛はジト目で睨みつけた。
「否定できるの? あんたには色々と前科もあることだしね。通報されないだけ感謝しなさい」
「……アレは俺が悪いのか?」
「ああいったことは大抵は男の方が悪いのよ」
「理不尽だ」
二人が共有するかつてあった苦い記憶を思い出し、凛は苛立ちを、士郎は罪悪感を顔に浮かべた。
「はいはいその話は今はどうでもいいのよ。いいから、あんたが見たっていう“夢”について詳しく話しなさい」
「お前から言ってきたんだろ。はぁ、まったく何でさ……それにしてもやけに“夢”に拘るが、何かあるのか?」
話を切り替えるように二人の間で軽く手を振った凛は、急かすように手を叩きながら士郎に話の続きを催促する。
「いいからまずは話なさい。詳しいことについては確証を得てからよ」
「……この世界に来たのは俺を連れ帰るためだけということじゃないのか……」
未だこの世界に来た理由について詳しく聞いていなかった士郎は、何かを隠している凛の様子に声の調子が思わず硬くなってしまう。しかし、凛は士郎の様子を気にする姿を見せることなく唇に人差し指を当て不敵な笑みを返した。
「それもまだ秘密よ。それとも何? 自分だけの為に来なかったのが不満なのかしら?」
「そんな訳ないだろ」
「それはそれでムカつくわね」
「理不尽過ぎる」
勝手で理不尽なセリフに、思わず士郎は両手で顔を覆って天井を仰いだ。しかし、当たり前であるがそこには的確なアドバイスをしてくれる人物も塞いだ気分を晴らしてくれる青空の姿もなかった。
「今更なに言ってるのよ」
「……それを自分で言うか」
何のこともない当たり前のことのように、苦悩を示す士郎を凛が呆れた様子で見つめていた。
「で、話を戻すけど、“夢”について詳しく教えなさい。私があの子から聞いたのは“夢”でブリミルに会ったっていう程度しかないのよ」
「……ま、別に話すのは構わないが」
最初から黙っておくようなものではない。だから士郎は渋ることなく凛に覚えている限りの“夢”の内容について説明を始めた。
「ふ〜ん……“初代ガンダールヴ”が“
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