第十五章 忘却の夢迷宮
第四話 混沌の朝食場
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少女とは言えない者もいたが。ガツガツと文字通り聞こえてくるような光景を目にしながら、士郎は巻き込まれるのを恐るように、ルイズたちから見えない奥まった位置で賄いに作ったサンドイッチを口に運んでいた。
「……美味いものでも食べて少しでも心が癒せればと思ったんだが、これじゃ本末転倒だな」
「ま、子供は元気が一番でしょ」
笑えばいいのか怒ればいいのかわからなくなって頭を抱えそうになっていた士郎の前に、湯気を立てる紅茶を置きながら隣に座る影があった。
「若干一名子供とは言えない人物がいるんだが」
「セイバー、ね……ま、いいんじゃない? 実際はどうあれ見た目は子供だし」
「それセイバーの前で絶対に言うなよ。この前口を滑らせたら鞘付きだが、デュランダルで殴られたからな」
「あんたは何やってるのよ……」
士郎の隣に腰掛けた凛は、長い足を組みながら士郎特性のパンを一斤そのまま食べ始めているセイバーを見ると、呆れているのか責めているのか判然としない視線を士郎に向けてきた。
「そうは言ってもだな。俺が五、六歳ぐらいの子供にお子様ランチを作ったのを見て自分も食べたいとか言って来たんだぞ。思わず『子供か』と言ってしまってしょうがないだろ」
「……ま、まあ。そういうこともあるわね」
反撃とばかりに士郎がジト目で睨みつけると、焦った様子で視線を外した凛は、士郎の前に置かれた皿の上にあるサンドイッチに手を伸ばした。
「ん、また腕を上げたんじゃない?」
「料理の腕がそう簡単に上がるようなもんじゃない。凛もわかってるだろ」
「ま、ね……」
「…………で、俺に何の用だ?」
無言でサンドイッチを口に運ぶ凛に、士郎は湧き上がる不安を隠すように若干上ずった声を上げた。
「用って訳じゃないけど……ちょっと小耳に挟んだことで聞きたいことがあって」
「聞きたいこと?」
カップに伸ばしかけていた手を止めると、士郎は隣に座る凛に視線を向けた
「あんた。この前随分と変なものを見たそうね」
「変なものを見たって……一体何のことだ?」
変と一言で言われ、士郎はそれが何の事かはわからず首を捻る。すると、凛は額を人差し指の先でつつきながら口を開いた。
「“夢”、よ“夢”」
「“夢”?」
「そ、あのブリミル教だか何だか知らなけど、そんな奴らにあんたが間抜けにも捕まっている間に見たっていう“夢”のことよ」
「……よく知っているな。と言うか誰から聞いたんだ?」
その“夢”について、士郎は限られた人物にしか伝えていなかった。その中で、最も可能性の高い人物の姿が頭に浮かぶと同時に、凛は半分程紅茶が残ったカップを軽く揺らしながら離れた位置で未だに騒いでいる一人の少女へとチラリと視線を向けた。
「そりゃ、
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