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剣の丘に花は咲く 
第十五章 忘却の夢迷宮
第四話 混沌の朝食場
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、それでも分かる程明らかに悪い意味で世話になっていた事を伺わせる声音に、ジュリオは引きつった笑みを浮かべてしまう。

「お前たちがどういった理由で“聖地”とやらを狙っているのかは知らんが、下らない理由で起こすのならば、こちらにも考えがあるぞ」
「……既に“聖戦”は始まっていますが」

 細めた目で探るような視線を士郎に向けるジュリオ。
 士郎が何をしようとも、既に“聖戦”は始まってしまっている。
 聖地の奪還のためサハラ(エルフの国)へと攻め込んではいないが、それも時間の問題である。“聖戦”自体は教皇が宣言した時から始まっているのだ。始まってしまった“聖戦”は、普通の戦争よりも終わらせる事は難しい。通常の―――人間同士の戦争は、いざとなれば交渉など話し合いで一時的にでも終わらせる事は可能だ。しかし、“聖戦”―――聖地を奪還するためのこの戦争の相手は、人間ではなくエルフである。交渉は人間同士と同じようにいくわけがなく。また、“聖戦”を掲げている事から話し合い自体を最初から念頭においてはいない。
 一度始まれば、どちらかが戦争を続けられなくなるまで終わらない狂気の戦争―――それが“聖戦”である。
 それをどうにかできるというのか?
 普通ならば絵空事。唯の大口としか受け取れない。
 だが、それを口にした相手が問題である。
 これまで様々な奇跡としか呼べない事態を引き起こしてきた男なのだ。
 安易に聞き逃すことはジュリオには出来ないでいた。

「なに、終わらせる方法がないわけじゃない。色々とやりようはある」
「……嘘を言っているようではありませんね」

 肩をすくませながら後ろを振り返り、軽い口調で冗談めかしく口にする士郎だが、ジュリオを見つめる瞳は全く笑っておらず恐ろしいまでに真剣な光が宿っている。瞳に宿る剣呑な光に気付いたジュリオは、気付けば本能的に重心を落としいつでも動きやすくする。

「ああ。そうなればお前たちも困るだろ」
「ええ、それは勿論……それで、つまりあなたはどうしろと」

 ジュリオは苛立ちを露わにした声で責めるように口調で士郎に言い放つ。

「……理由は何だ」
「理由?」
「何故、そこまで“聖地”の回復に拘わる」

 ジュリオに改めて向き直った士郎が一歩前へと出る。距離があるにも関わらず、物理的な圧力を感じジュリオが一歩後ずさった。しかし、すぐに気を取り直すように顔を左右に振ると、見下ろしてくる士郎の視線を真っ向から睨みつけた。

「“聖地”は始祖ブリミルが降臨された土地で、ブリミル教徒にとって最も重要な土地であるから―――と言ってもあなたは納得はしませんよね」
「建前はいい。お前も、あの教皇も何かを隠している事は分かっている。だが、それが何なのかが分からん」

 睨むように
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