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リリなのinボクらの太陽サーガ
炎上
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いないようだが、俺は薄ら寒い気分を抱いた。まさか……局員達は俺達が来た頃には既にアンデッド化していたのか? それなら俺達が来た時に妙に殺気立っていた理由も納得がいく……。ラタトスクの人形使いとしての力量は相当高い……自分が注いだ暗黒物質を上手く操作して、外見や表面上の精神を人間のままにしておく事ぐらい造作もないだろう。
という事は即ち、村長が見たのはアンデッド……いや待て、魔導師がアンデッド化したという事は、セルゲイの時のような変異体が生まれてしまったのか? だが変異体なら死体を残さず喰っている……そうか、暗黒物質の潜伏期間が長かったから、魔導師でも馴染んでしまったのか。それに局員達が完全にアンデッド化した以上、彼らは本能のままにクリアカンで生きている存在全てを襲っている。それに地下の無数の死体もアンデッド化して地上に出ているに違いない。

つまり……今のクリアカンは死者の都となった。命を持つ者を否定する……地獄の世界。

「ゲホッ! ゲホッ! どうやら……お迎……えが来た……ようです……」

「嫌だ……逝かないで村長! 村長!!」

『おじいちゃん! 私、やっと戻ってきたのに……こんなに早く別れたくないよ! ねぇ!!』

「ふふ……シャ……ロン……と……マキ……ナ……が看取……てくれ…………もう………満………ぞ……く……だ――――――」

彼の生命の気が……消えた。

「村長……さん……? うそ……だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ!! どうして……どうしてこの方が、この街の者達が死ななければならないんだ!! 11年前の事もまだちゃんと償えていないのに、どうして……!!」

「……そん……ちょう……! あ、あ……わぁぁぁあああああああっっ!!!」

『なんで……世界は二度も私から故郷を奪うの……世界ってどうしてこんなに残酷なの……わからない……もう何を信じたらいいのか、全然わからないよ!!』

ネロもシャロンもマキナも、村長の死に慟哭の叫びをあげる。俺とユーノは村長やこの街の人達に哀悼の意を示し、彼らの魂が安らかに眠れるように冥福を祈った。そして次元世界の治安を守る管理局の人間なのに、欲望に憑りつかれたせいでこんな悲劇を起こした真実を受け、俺は人間と管理局に対して激しく失望した。

正直な所、人間とはあまり理性的でない生き物だと知っている。時に理解出来ない行為にまで及ぶ危険性も内包していて、それでも俺は人間の可能性を信じていた。だが……この光景を見て、俺はそれが甘かったと思い知らされた。本来、個は弱くとも無力ではない。むしろ世界を壊すほどに危険な存在であると。これが……イモータルの、銀河意思ダークの主張していた“銀河を滅ぼす存在”か……! だが俺も、許可証を発行してもらう時に気付けなかった自分のミスを棚に上げるつもりは無かっ
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