炎上
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こんな事に!?」
「逃げなさい……シャロン、マキナ。ここから、この世界から……! ニダヴェリールは……化け物の巣窟になりました……!」
「化け物だと!?」
尋ねると弱々しい状態で村長は要点だけをしっかり説明してくれた。彼曰く……日が完全に沈んだ時、突如襲撃が起こった。魔法……非殺傷設定を切った、人を殺す魔法が雨のように降り注ぎ、街が火に包まれた。
それをやったのは…………………管理局。
ニダヴェリールの魔導結晶……質の良い物をハイペースで採掘し過ぎた事で収穫量が減り、その価値と能力を取り戻すために、欲深い連中が暴走して糧となる死者を作ろうとした。遺跡で俺が気づいた真実を、実は管理局も把握していたらしい。俺の推測が一部混じっているが、つまりこういう事だ。
かつて彼らは結晶を生み出すために死者が必要なら、次元世界の死体を使えば良いと考え、11年前の大破壊の中心点……この世界で最も大きなクレーターに多くの死体を投棄した。この世界を自分達の資産とするために。そして思惑通りに結晶は生えた……が、あまり良い質のものは生成されなかった。ニダヴェリールはニダヴェリールで生まれた命からしか、純度の高い結晶を作れなかったのだ。
しかしこの世界の人間で生きているのはアクーナの民のみ、しかも生き残った数はごく僅か。それにちゃんと埋葬せず、クレーターに死体を投棄した事でも人道的に問題がある。世間に知られれば、事を行った連中の罷免は免れない。当然、管理局にいる腹黒い“裏”の連中はいつものようにとある手段を使った。
“臭い物に蓋をする”、それが管理局の処世術。文字通りの“蓋”として、彼らはクレーターの上にクリアカンを建てた。世界再建のシンボルとして、あたかも立派な信念の下で作られたものだと対外に告知して。その地下には無数の死体が埋まっているとも知らず……。そして今、アクーナの民を皆殺しにした真実も、外の世界には漏らさず闇に葬るつもりだ。ユーノの調査団をここに送ってすぐにこんな事が出来たのは、どうせ今まで奥に入って生きて戻れた者がいないヴェルザンディ遺跡に行けば、勝手に死ぬと連中が信じ込んだから。エレンとサルタナからよく注意を言い聞かされていたが、“裏”とはここまで性質が悪いものだったのか……。だが村長の話はまだ終わっていなかった。
「言葉で……説明するのは……難しい、ですが……彼らは、生きた人間の目を……していませんでした。あれはまるで亡者……それも性質の悪い……怨霊の類です。魔導師とは、皆……あのようなグロテクスな……姿に変わるものなのでしょうか……?」
「グロテクス? セットアップやバリアジャケットの事を言ってる訳じゃないよね……?」
途切れ途切れに息をついて村長が何とか語ってくれた内容に、ユーノはまだ思考が追い付いて
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