炎上
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へ行き、暗黒転移を発動……する前に確かめておきたい事があった。
「ラタトスク、どうして邪魔してこない?」
「言ったでしょう、既に策は実っていると。即死級のトラップ群を潜り抜けて、この最深部までたどり着いた事だけは想定外でしたが、結局の所運命はわたくしの味方をしました。ここであなた達を止めるよりも、抗えない絶望を前にして心が折れた無様な姿をじっくり堪能させてもらってから、ひとりも残さずわたくしの人形コレクションに加えてやりますよ」
「ふん、いつもながら貴様の台詞は聞いてて腸が煮えくり返りそうだが、その余裕がいずれ貴様の命取りとなるさ」
「そう言っていられるのも今の内です。時が満ちた今、あなた達がこれから何をしようと、全ては手遅れ……何もかも無駄なんですよ」
「無駄かどうかはいずれわかる。次に相対するまで、せいぜい首を洗って待ってろ」
互いに悪態をついてから、俺はすぐにマキナとシャロンを抱えて暗黒転移。同時にネロとユーノも転移魔法を発動し、俺達は結晶域から姿を消した。その数秒後、結晶域全体が輝きだし、ファーヴニルの卵が鳴動を始める。
「ウフフ……もうすぐ“静寂の獣ファーヴニル”が目覚める……。この魔導結晶はニダヴェリールが世界を再生するために生成したものですが、同時にファーヴニルを封印するエネルギー源としても使われていた。だがそれは人間自身の手で奪われ、自ら破滅を招こうとしている。人間が封印を施したかと思えば、同じ人間が封印を破る……滑稽ですよねぇ! そしてわたくしもまた、ヴァナルガンドの時の失敗を糧に今度は確実な方法を取らせて頂きます。もう一つ……新たな力を得た今のわたくしには誰であろうと到底及びません。そう、一度はわたくしを浄化した太陽少年ジャンゴでさえも……! 今こそ……わたくしが破壊の王として降臨する時!! ククク……ハッハッハッハッ!!!」
ヴェルザンディ遺跡の入り口に転移してきた俺達は、ゆっくり相談している暇も無く、急ぎアクーナへ向けて駆け抜ける。立ち昇る悪い予感と不安、焦燥感を振り切るように俺はひたすら走った。だが……俺達の目的地であるアクーナの方向から轟々と火の手が上がっているのが、他に光が無い夜闇のせいでここからでも見えてしまい、隣でマキナとシャロンが酷く動揺していた。
そして背筋に悪寒が走りながらも、何とかアクーナへたどり着く。が、昨晩の切なさと静かさが調和した光景とは一変して、そこでは文字通りの悪夢が広がっていた。
「そ、そんな……! 私の街が……アクーナが……!!」
『燃えている……私達の故郷が……! ど、どうして……なんでこんな事に!?』
炎上せしアクーナ。自分達の故郷が灰になっていく光景を目の当たりにしたマキナとシャロンは、絶望のあまり
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