炎上
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かない遺跡バカの代わりに私が解読するよ」
「ああ……頼む、シャロン」
「……『碑文を読み解きし者へ。いつか永い時を経てここにたどり着いた者が過ちを犯さぬよう、ここに卵の正体を伝える。これは“ファーヴニル”と呼ばれる不滅の獣が星の力の下、封印されているものだ。かつての戦乱の後、“彼女”に劣らぬ程鍛え上げた私の拳ですら丸一日戦い通し、戦いの最中で私は、本能に従い運命すら凍らせようとする奴の性質を見出した。あまりの危険さ故にこのまま野放しにしてはならないと察した私は、この世界の人の魂全てを鍵とし、星が奴の力を抑え込む封印に成功した。現地の民の協力の下、この上に遺跡を作らせる事で奴を忘却の彼方へ葬ろうとしたが、封印はこの星と生きる人の命が減るごとに弱まってしまう。後世の者達よ、世界の未来を失いたくないのであれば彼らの命を奪う事など以てのほか、決して封印が解かれるような事は起こすな。……覇王クラウス・G・S・イングヴァルト、ここに封印を成した者也』……以上」
シャロンの解読を聞き、俺はこの“ファーヴニル”を卵に封印した覇王という人物に少なからず敬意を抱いた。“ファーヴニル”は十中八九、絶対存在エターナルである。完全に目覚めているエターナルを封印するまで戦い抜いた覇王は、英雄に匹敵する功績を成し遂げたのだ。
マキナとシャロンは世界を破滅していたかもしれない不滅の化け物が封印されていると知り、冷や汗をかいて卵から一歩下がっていた。まぁ、それは仕方ないだろう。世界を破滅させたという意味では闇の書も似たようなものだから、当時の恐怖がフラッシュバックしたのかもしれない。
一方でユーノとネロは覇王について何かしら知っているのか、反応が俺達と違って大袈裟とも言えるぐらい驚いていた。
「は、覇王がここに来ていた!? しかもエターナルを封印しただなんて……あまりに衝撃的な発見だ……! 学会で発表したら、歴史学者達がひっくり返る程だよ……!」
「まさかこんな僻地で覇王の名を聞くとは思わなかった……! 文面の内容から察するに、これは聖王オリヴィエがゆりかごで戦乱を終わらせた後の時期だろう。何にしても遺跡を作るように指示したのが、実は覇王だったとは驚いたな……。それにあのトラップの大群も、これに近づけさせないための措置だと考えれば十分納得がいく」
俺は知らなかったのだが、覇王クラウス・G・S・イングヴァルトはベルカの偉人らしく、歴史書でも聖王と並ぶ程高い頻度で出て来る名前なんだとか。それほどの人物の軌跡が一部でも判明したとなれば、確かに次元世界にとっては世紀の大発見だろう。
とりあえず偉人の遺した言葉通りなら、こいつを目覚めさせたら絶対に碌な事にならん。結局の所、放置しておくのが一番だ。
ところで……この碑文の土台となっている魔導結晶の中に
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