第七章
[8]前話
「お父さんがいつも言ってるその蛇だよ」
「ああ、毒のある」
「パイワン族の人は百歩蛇には魔除けの効果があると思ってるからね」
「毒がある蛇だから」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「服の模様にもしているんだ」
「成程ね」
「お父さんはその蛇あまり好きじゃないけれどね」
「魔除けの効果があるから」
「服に飾ってるんだ」
「わかったわ、じゃあ私は魔除けも備えた皇帝になったのね」
娘は話を聞いて納得した。
「そういうことね」
「そうだよ、ただ百歩蛇には近寄らない様にね」
先生は娘にもこう言った。
「噛まれたら大変だから」
「百歩で死なないまでも」
「大変なことになるから」
「そのことは注意するわね」
「くれぐれもね、じゃあお父さんはこれから御飯だから」
「お兄ちゃんは?」
娘は先生に答えずに彼女の兄のことを尋ねた。
「まだ帰ってないの?」
「まだだよ」
「やれやれね。妹の晴れ姿を見せてあげられたのに」
「お父さんにはいいのかな」
「今見たしいいでしょ」
これが娘の返事だった。
「それで」
「まあね、じゃあ」
「ええ、じゃあお兄ちゃん戻って来たらまた着るから」
「今はだね」
「元の服に戻るわ」
こう言ってだった、娘は元の服に着替えに自分の部屋に戻った、そして兄が戻って来た時にまた論ロンパウを着た。そして寝る前に先生に言った。
「今日は有り難うね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「お父さんにあまり百歩蛇は見せないでくれよ」
ロンパウのそれもとだ、先生はこう言ってだった。それで娘にお休みの挨拶をしてそのうえで妻と共に寝た。旅行と引率の疲れを癒す為に。
ロンパウ 完
2015・6・28
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