第三章
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「行こうね」
「わかりました」
「じゃあ行きましょう、パイワン族の人達のところに」
「史跡研修に」
台湾の歴史、もっと言えば民俗学的な勉強をしにだ。楊先生は生徒達を連れてそのパイワン族の村に向かった。
村に行く途中まではだ、先生が予想した通り大変だった。
山には道がある、しかし山自体が険しく道も狭くだ。暑くそのうえに。
「うわ、また虫が一杯出てきましたよ」
「今度は蜂です」
「さっきは蚊が一杯出て来て」
「蜂まで出て来ましたよ」
「近寄ったら駄目だよ」
絶対にとだ、先生は生徒達に注意した。皆帽子を被ってリュックを背負っている。先生達が生徒達を引率している。
「絶対に」
「はい、かえってですね」
「刺激して危ないからですね」
「そうだよ、虫除けのスプレーはかけてるから」
皆の服にだ。
「あまり近寄って来ないからね」
「ここは変に刺激しないで」
「近寄らないといいですね」
「そうしてですね」
「先に行けばいいですね」
「うん、あとどんな蛇が出て来ても」
楊先生はこのことも言った。
「わかってるね」
「近寄らない」
「刺激しないことですね」
「通り過ぎるのも待つ」
「そうすればいいですね」
「間違っても踏んだら駄目だよ」
これは最悪だというのだ。
「すぐに攻撃してくるからね」
「噛んでくるってことですね」
「その毒牙で」
「本当に気をつけないと」
「死にますね」
「そうだよ、何度も言うけれど噛まれないことそれ以上に近寄らないことがね」
そうしたことこそがというのだ。
「第一だからね」
「ですね、じゃあ」
「気をつけて」
「先に進みましょう」
「パイワン族の人達まで」
村まで行くのはピクニックではなく行軍に近かった、虫や毒蛇に注意しつつそのうえでパイワン族の村まで向かっていた。
そしてだった、ようやくだった。
その村が見えて来てだ、学生達は言った。
「やっと」
「やっと見えて来たね」
「村が」
「パイワン族の人達の村が」
「いや、長かったですが」
「やっとですね」
「うん、着いたね」
楊先生も言う、かけている眼鏡を右手で位置をなおしつつ。痩せた顔に出ている汗はハンカチで拭いた。
「皆よく頑張ったね」
「山も険しかったですが」
「虫とか大変でしたね」
「本当に我が国はこうしたことは大変ですね」
「何かと」
「百歩蛇なんて」
それこそというのだ。
「いなくていいのに」
「あんな怖い蛇は」
「先生も言ってますけれど」
「あんな蛇台湾にいるのが嫌です」
「生態系のことは言っても仕方ないよ」
このことについてはだ、先生は言った。
「いるものはいるから」
「毒蛇もですね」
「それはそれで必要ってことですね」
「
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