暁 〜小説投稿サイト〜
学校の小さな防人
ACT.2 「暗い今と暗い過去」
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んだァこいつゥ?」

独特の口調で話す山下はすでにこちらに向かって歩いて来ている。

塩谷と言われていた長髪ノッポも何かを掴みながらこちらに歩いて来た。その手にちらりと見えたのは、ナイフだった。果物ナイフなどではなく、軍人が使うようなサバイバルナイフだった。

「ひっ、ひっ…」

不気味な笑いを浮かべた塩谷は学生服のポケットを漁ると、さらに何かを取り出した。

銀色の鉄の塊、と最初は思った。予想は合ってもいるし、間違ってもいた。

コルト・ガバメントM1911。それが、塩谷の取り出した「銀色の鉄の塊」の正体だった。

銃器のライセンス自体は高校生から取れるので、持っている生徒もこの学校には少なくないが、校内への持ち込みは禁止されている。

塩谷は持っていたサバイバルナイフを山下に渡すと、自分はガバメントのスライドを引き、初弾を装填した。

「長谷、遠慮無くやれ」

長谷に素早く指示を出すと、ホルスターからUSPを引き抜く。約0.5秒で狙いを定める。狙いは塩谷の右手首、又は頭部のどちらか。

流石に昏倒させては不味いと思ったので、瞬間的な判断で手首側に照準を定める。

塩谷もガバメントを構える動作に入っている。が、こちらの方が早い。

焦らず、ガク引きをしないように絞る様にトリガーを引く。

瞬間、パァァンという音と発射炎と共に、USPの銃口から装填された弾薬が飛び出した。弾種は軟質プラスチック弾のEM65.45cal。スクリューに沿って回転の力を受けた弾は、真っ直ぐに照準した所…塩谷の右手首に直進し、そして命中した。

「うわァぁァ?」

塩谷の絶叫と共にガバメントはコンクリートの地面に落ちた。

その隙を見逃さず、距離を一気に詰める。得意技の間合いだ。

塩谷の貧相な左腕と右肩を掴み、そのまま投げる。勿論、地面はコンクリートなので、袖は掴んだままで。

「ぐぅっ…」

背中を打った塩谷はそのまま地面に倒れ伏せ、気を失った様に動かなくなった。

後ろを振り返ると、丁度山下が長谷の大外刈りを受け、倒れる所だった。長谷まではいかなくとも、相当な巨体を持っている山下が倒れた事に女子生徒の疋田と大矢は戦意を無くしたらしく、芽衣を置いて逃げて行った。

「芽衣っ?」

崩れ落ちる寸前だった芽衣を何とかキャッチし、立ち上がらせる。

「どうした。あの連中になんかされたのか?」

泣き顔の芽衣はしきりに首を振って否定するばかりで、回答はもらえそうにない。

「とりあえず、校舎に行くぞ」

芽衣が歩き出すと無意識に手を繋いでいた。きっと芽衣の不安を和らげるためだったのだろう。芽衣の方もそれに甘え、指を絡めてきた。

数十秒歩き、校舎に辿りついた。

芽衣が荷物
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