悪魔の心臓・・・来襲!!
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そこには、信じられない光景が広がっていた。シリルの全身が血で赤く染まり、膝に手をついて肩で息をしていた。
「なっ!!」
「シリルくん・・・」
エルザとジュビアは、その姿に思わず冷や汗をかく。だが、何かがおかしい。シリルは確かに体中血まみれなのだが、意識を失って倒れるような感じにも見えない。
するとシリルは、空を仰ぎ、大きく息をつく。
そして、自分の前に倒れているライオンの鬣をつかむ。
「おい!!おめぇ起きろ!!」
「ぐ・・・」
よく見ると、ライオンは傷だらけになっており、その近くで伸びているカラスも、同様に傷だらけで白目を向いていた。
「起きろって!!」
「ぐほぉ!!」
意識を失っていたライオンの顔面に、シリルがグーパンチをお見舞いする。
ライオンはそれで意識を取り戻したのか、目を開く。
「おめぇらの潜入しているアズマって奴ぁどこだよ!!」
「あ・・・あっちに・・・いる・・・は・・・ぐふん」
ライオンはエルザたちが見ている方向とは逆の方を力なく指さしたかと思ったら、あまりのダメージに意識を失い、腕をダランとさせた。
シリルはそんなライオンを地面に叩きつける。
「あっちか」
「シリル!!」
「シリルくん!!」
「シリル〜!!」
エルザたちはシリルのあまりの威圧感と血まみれの姿に唖然としていたが、ようやく正気に戻り、シリルの元に駆け寄る。
シリルもその声に気づき、エルザたちの方を向く。
「エルザさん!!ジュビアさんも!!」
「無事だったんだな!!」
「エルザさん!!全然無事じゃないですよ!!この血・・・」
ジュビアはそういってシリルの顔を撫でると、その血は簡単に落ち、そこから見えるシリルの顔は、ほとんど傷などついていなかった。
「あれ?」
「どうしたんですか?」
ジュビアはシリルの顔を不思議そうに見たあと、近くに倒れているライオンとカラスを見て、この血の正体に気付く。
そう、この血は、大半がシリルが倒したライオンとカラスの血、あまりのシリルの攻撃に、二人の血が飛び散ってしまい、シリルに降りかかったためであった。
「よかった〜」
「??」
ジュビアは安心したようにシリルを抱き締める。シリルは、いまいち自分の状況がわかっておらず、?マークを頭に浮かべている。
「あ!!」
「「「?」」」
すると、シリルが突然何かを思いだし、ジュビアの体を引き離す。
「エルザさん!!ジュビアさん!!この2匹の始末をお願いします!!セシリー!!」
シリルはライオンとカラスを指さしたあと、セシリーを呼び、セシリーはシリルの近くに飛んでくる。
「何?」
「急いで向こうに飛んでくれ!!全力で!!」
「う・・・うん!!」
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