第三章
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夏姫にだ、穏やかな声で言って来た。
「いらっしゃいませ」
「ご入浴ですか」
「あっ、はい」
その衣装に戸惑いながらもだ、夏姫は答えた。
「お願いします」
「サウナはお使いになられますか?」
「マッサージは如何でしょうか」
「マッサージもあるんですね、このお店」
「はい」
そうだとだ、お店の女の人は答えた。
「そちらもあります」
「ナシ族のマッサージですか?」
夏姫はこのお店のガイドから尋ねた。
「そうなんですか?」
「それは使ってみてのお楽しみです」
お店の人は答えてくれなかった。
「ですが今は割引サービス中です」
「割引ですか、そういえば」
店の略体字で書かれた料金を見てだ、夏姫は言った。
「安いですね」
「そこからさらにです」
「割引してるんですか」
「そうです」
こう夏姫に言うのだった。
「そうなっています」
「そうですか、それじゃあ」
「マッサージもですね」
「お願いします、あとサウナも」
そちらも入るというのだ。
「お願いします」
「それでは」
こうしてだった、夏姫は。
風呂に入った、脱衣場で服を脱ぎ一糸まとわぬ姿になってから。
まずは身体を洗ってからバスタオルを身体に巻いてサウナに入り汗をかいて水風呂に入り湯にも入って。
そしてまたサウナに入って水風呂に入って湯に入ってだった。
その後でマッサージを受けた、そこでだった。
その独特の服の女の人からマッサージを受けつつだ、女の人に尋ねた。
「一ついいですか?」
「何でしょうか」
「その服は」
「私達の服です」
「ナシ族のですか」
「はい、そうです」
そうした服だというのだ。
「私達は昔からこの服を着ています」
「そうなんですね、それで」
「それで?」
「その背中の背あては」
特にこれが気になって問うたのだ。
「一体」
「これですか」
「はい、面白い背あてだけれど」
それはというのだ。
「一体」
「これは七星羊皮といいまして」
「七星羊皮?」
「そうです、私達ナシ族の背あてでして」
こう夏姫に説明するのだった。
「私達独自のものです」
「そうなんですか、それで」
「それで?」
「飾りは」
「丸い七つの飾りですね」
「銀色でとても奇麗ですけれど」
「北斗七星を表しています」
女の人はにこりと笑って七星にその飾りのことも説明した。
「縁起ですね」
「縁起ですか」
「はい、そうです」
「面白い縁起ものですね」
夏姫はタオルに身体を覆った姿でマッサージを受けながら女の人に話した。
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