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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
10.始まりと終わりの国
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過ぎるくらいの、人柄の良さを。
 この王は王としては好ましくないが、人としては好ましい。それが、ロキの下した判断だった。

「ええで。土地勘のあるそっちと戦い慣れたこっち。共同で当たった方が解決も早いやろ」
「おお!寛大な判断、痛み入ります!!」

 こうして、カルディスラ兵士団、ロキ・ファミリアの共同調査が始まった。



 = =



 調査は驚くほどスムーズに進んだ。
 兵士団が苦戦していたのは本当に魔物だけだったらしく、ロキ・ファミリアが魔物の相手を受け持った途端にスムーズにがれきの撤去や道の整備を始めた。彼らは元々魔物討伐よりそちらの仕事が多いのか、その動きは手慣れている。

 その様子を背に、魔物を狩り終えたファミリアの一人、魔法に秀でたエルフのレフィーヤが足元の魔石を拾う。
 先ほど倒した魔物の身体から出たものだが、ダンジョンではそれこそ初級冒険者が狩っているような大きさだ。売っても大した値段にもならなそうな、稼ぎの悪そうな魔石にしか見えない。

「魔物の狂暴化と言われても、全然実感がわきませんね……これくらいの魔物だとダンジョン上層と見分けがつきません。アイズさんはつきますか?」
「………あまり」

 アイズは正直に首を横に振る。彼女たちはダンジョン攻略の為にいつも地下深くの手ごわい魔物を相手にしているが故、強い魔物は判別がついても弱い魔物はからっきしだ。むしろ魔物との戦闘があっさり終わりすぎて何となく欲求不満なくらいだった。
 だが、その言葉にリヴィエアが小さくため息をついた。

「上層モンスターと違いが分からないということは、逆を言えば上層モンスターと差がないということでもある。つまり……ダンジョン外のモンスターとしては異常に強いということだ……見て見ろ」
「これは……随分小振りな魔石ですね?さっき取れた魔石の十分の一くらいですか……?」
「地上で繁殖した魔物の魔石など普通はこの程度のサイズだ。つまり、この周辺の魔物は地上に本来住まう魔物の10倍近い力を持っていることになるな。これでは恩恵(ファルナ)無しでは苦戦するのも頷ける」
「つまり、単純計算で周囲の魔物の実力が10倍……それ、危険ってレベル超えてませんか……!?」

 言うならば、ダンジョン1層で戦う駆け出しの冒険者が、唐突に20層あたりに放り込まれて戦わなければいけない、そんな状態にこの国があるという事だ。
例えばだが、10層前後にはレベル1ではどうしても勝てない能力差を持った魔物が存在している。その奥に行けば能力差はさらに開き、20層ともなると瞬殺されかねない差へと変貌する。だからこそ冒険者は実力に合った階層を選んで稼ぐのだ。冒険者なら自分の挑む階層くらい自分で選択できるが、この国の人々はこの土地に根付いて生活す
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