ケイ・ウタル、一目惚れにつき
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かけによらず初なんだねぇ」
「わぁ…これは面白い予感が…!」
三者三様にリアクションがとられたその日の午後だった。
「あんた…やるねぇ…」
作業を初めての1時間程が経過した。
俺がやったことと言えば店内清掃、仕込みや不足した調味料の追加等である。
ミアさんは俺の作業ペースに驚いたのか、そう言ってくれた。
「と、どうも…あははは…」
スキルのお陰ですとは口が避けても言えない。
とは言えどうやら予定よりも早くなってしまったようだ。
「他に何かやることはありますか?」
「そうさね…なら買い出しに行ってきてくれるかい?リューと一緒に」
「ああ、お安いごよ…う?」
ん?今なんて言った?
リューと一緒に…?リューってさっきのビューティフルエルフさんの名前じゃなかっただろうか?
「あの…だ、誰と…?」
「リューだよ。
リュー!買い出しに行ってきてくれるかい!
ケイを連れていくんだよ!」
「あ、いやちょ!」
「……了解しました」
……何だろうか今の間は…もしかして嫌われている?
そうでなくても苦手意識とか?…ははっ…オワタ……。
「よ、よろしく御願いします」
「…はい。行きましょうか」
こ、こうなったらこの買い物で名誉返上(錯乱)するしかない!
こうして俺はリューさんと一緒に買い出しに出掛けるのだった。
「「…」」
「「………」」
「「……………………………」」
き ま ず い!
ヤバイよこれ!!さっきからお互いに黙々と買いものするだけで会話の一つも出やしねぇ!
きまずい何て物じゃねぇ、さっきから心臓がバクバクして可笑しくなりそうだ!
「……これで買い物は終了です。帰りましょう」
「あ、はい」
あ、終わった…。
とうとう信用回復も出来ないままに買い物が終了してしまった…。
な、ならせめてこれだけでも…!
「に、荷物持ちますよ!
着いてきて何も持ってないのは男としてもどうかと思うので!」
「…では、お願いします」
や、やった!会話できたよ!
これでもう思い残すことないかも!
辺りは既に日が傾き、夕日が辺りを照らしている。
近道と言うことで路地裏を通りながら帰宅する。
「…本来」
「…え?」
道中、静かに切り出された言葉に一瞬ドキッとしてしまうが、黙って聞くことを選択。
リューさんは続ける。
「本来、誇り高いエルフは心を許した者以外の、他者との肌の接触を拒みます。
それはずっと昔から続いてきた風習で、今でもきっと続いているでしょう」
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