暁 〜小説投稿サイト〜
学校の小さな防人
ACT.0 「浜松市立高校銃乱射事件」
[1/3]

[1] 最後 [2]次話
「はぁっ、はぁっ…」

もう何m走ったのだろうか。足の感覚が麻痺している。

しかし走らなければいけない。「奴ら」から逃れるためには。

足を踏ん張り、また走る。

「くそっ…くそっ…」

涙が出てきた。何故俺は逃げなければいけない。

決まっている。「あれ」のせいだ。「奴ら」のせいだ。

真っ白になりつつある頭の中で解答が生み出され、それが思考に展開していく。だが、この状況が変わる訳でも無く、結局は走る。

涙を拭き、地面を蹴る。

もう何m走ったのだろうか、とまた思った時、目の前に「奴ら」は現れた。

「ケヒッ、まだ生き残りが居たぜ」

「奴ら」は3人居た。全員が「あれ」を持っており、こちらに向けていた。

「あれ」は簡単に人を殺せる能力を持つ。そのために開発され、使われているからだ。

「奴ら」が持っている「あれ」の名前は「AK‐47」。ソ連が1940年代に開発した小銃(アサルトライフル)だ。

「奴ら」はAKをこちらに向けながらニタニタと気持ち悪い笑いを浮かべていた。

「さて、どう殺すかな」

一人が前へ進み、銃口を頬に当ててくる。

「やっぱ、撃っちゃうか?オイ?」

下品な笑いを発し、トリガーに指を掛け始める。

「おいガキィ」

一人が顎を掴み、強制的に「奴ら」の顔を見てしまう。

「な..んだ.....」

だいぶ掠れた声が口から出た。

「恨むなら、この国の無能な警察を恨めよ」

男がニッ、と笑った。

その笑顔に恐怖した。その顔は、まるで人を殺すのに躊躇わない異常者そのものだった。

「じゃあな、生き残りの少年!!」

死刑宣告と同じ言葉を脳で受け、目を閉じる。

(ここで死ぬのか....)

男がトリガーを引き、AK-47の銃口から7.62mm弾が発射され、銃口が接している頬から左脳に掛けての物が全部抉り取られた、はずだった。

銃声は鳴ったが、体の感覚は全然消えない。数秒立っても何も起こらない。恐る恐る目を開けて見る。

見えたのは、左のこめかみから血を噴射させている男と、それを見てポカン...としている二人の男。

男の血はこめかみから肩へ、肩から足へ、足から地面へと流れつたい、最後は足元に落ちたAKにバシャリ、とかかった。そして意思を失ったように倒れ、そして絶命した。

倒れた男の左にあるガラス窓には、直径8.5mm程の穴が空いていた。

「な、なにが起こった...?」

辺りを見回す男。またその男も、「狩人」に狙われた哀れな子羊だった。

その子羊の向かう先は、「死」。1km離れてようが、2km離れてようが、「狩人」からは逃れられない。

瞬間、パアアン!と、甲高い音が耳を貫いた。
[1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ