暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
2ndA‘s編
最終話〜無慈悲なエンドロール〜
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黙が再び落ちた。今度は先ほどと違い、ライの言葉を本当に理解出来なかったと言う風だ。ライは一度息を吐き出すと説明を始めた。

「僕が元来の肉体ではなく、魔導生命としての身体を用意した際に参考にしたデータがあった。それが夜天の書の守護騎士プログラムだ」

 ライはゆりかごとCの世界との関係を知った際、ゆりかごの内部に保存されていたベルカについて多種多様なデータが存在している事を確認している。そしてそれがあったからこそ今この平行世界に存在することができているのだ。
 そう、最後の救いそのものをライは最初から持っていたのだ。

「ちょ、ちょっと待ってください。仮に貴方がそのデータを持っていて、どうしてこの世界では生きていけないのですか?」

 先ほどのライの言動を思い出し、動揺をなんとか抑えながらもシャマルは質問を発する。
 その質問に対するライの返答はある意味でシンプルであった。

「もし、この世界で夜天の書を修復してしまえば八神はやては次元世界単位で狙われる」

「「……は?」」

「彼女には……後ろ盾がない」

 ライの考えはこうであった。
 今回の事件で、八神はやては書類上では事件の被害者であり、解決に導いた功労者の一人となる。だが、世間の目はそうはならない。
 彼女は良くも悪くも夜天の書の主なのだ。それこそ被害者遺族などの恨みは彼女に集中することにもなる。更に管理局員となったとしても、ヴォルケンリッターが人を襲った以上犯罪者のレッテルは貼られてしまう。例えそれが真実とはかけ離れていても。
 そして只でさえ多くの人間から目を付けられた上、夜天の書の完全修復までしてしまえば、護るもののいない彼女にとっては致命的になってしまう。
 夜天の書は失われた古代ベルカの遺産の一つと言ってもいい。そしてその知名度は高く、秘める力の大きさも次元世界では有名だ。もし、そんなモノを完全に修復してしまえば、古代ベルカの情報を求める者、または修復できたのは八神はやてが特殊な力を持っていると考える者など、理由をあげ出すとキリがない程の人々に狙われることになる。

「そんな……でも私たちがそんなものは持っていないと公表すれば――――」

「金の採れた鉱山の所有者が『この鉱山にはもう金は無い』と言ったところで誰も信用しない」

 シャマルの悲痛な叫びをライは無情な例えで切り伏せる。

「待ちなさい。彼女たちは管理局できちんと保護を――――」

「次元世界はそれこそ果てしない。この広すぎる世界の中でたった一人の少女を守るためにどれだけの敵を作っても、何に変えても、最後まで守りきると誓えるのか?」

「それは――――」

 ライの言葉に答えられる者はこの場にはいなかった。
 リンディは権力的にもかなり高いものを持ってい
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