天狼島編
ベストパートナー
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「君たちのことはミストガンからよく聞いている」
なぜかメストさんは口を開けて空を見る。何してるんだ?
「あ・・・あの、何してるんですか?」
「雪の味を知りたいのだ。気にしないでくれ」
「気にしますよ!!」
なんだよ雪の味が知りたいって!!味なんかしないに決まってんじゃん!!
「力を貸してくれないか?」
「それが人にものを頼む態度なの!?」
「というかこっちを見ながら話してよ〜!!」
シャルルとセシリーはメストさんに怒鳴る。まぁ、確かに人に頼みごとをする体勢ではなかったよね。
「すまん。どうも俺は、知りたいことがあると、夢中になるくせがあるのだ」
頭をかきながらメストさんはそう言う。
「ウェンディ。君の力があれば、俺はS級の世界を知ることができる。本当はシリルにお願いしようと思っていたが・・・君はS級魔導士試験に選ばれてしまった。
頼れるのは君だけだ。頼む、力を貸してくれ」
メストさんはそういって頭を下げる。
「えっ!でも・・・私なんか・・・」
「ダメに決まってるじゃない!!」
「メストさんには申し訳ないんですけど・・・今回は違う方に当たってもらえませんかね?」
「ごめんね〜」
俺たちがダメだというと、メストさんは残念そうな顔をしたあと、川に飛び込む。はぁ?
「何してるんですか!?」
「知りたい。冬の川の中というものを、俺は知りたい」
「ちょ・・・この人ヤバイよ〜!!」
「こんな変態に付き合っちゃ絶対ダメよ!!」
め・・・メストさんって、こんなに変な人なんだ・・・やっぱり妖精の尻尾は個性的な人がいっぱいだな。
「でも、悪い人じゃなさそうよ」
「どこが!?」
「変な人ではあるけどな」
「確かに〜」
ウェンディはメストさんを見てそう言う。その顔は、少し悩んでいるように見える。
「私・・・色々と助けてもらったミストガンに、何一つ恩返しができなかったし・・・」
「うっ・・・」
そういえば・・・俺も何か返した記憶がないような・・・
「エドラスを救ったじゃない!!それで十分よ!!」
「でもそれは、結果的にそうなっただけで・・・私気持ち的には・・・」
「ダメったらダメ!!」
シャルルはウェンディがメストさんのパートナーになるのに絶対反対のようだ。俺もウェンディには危険な目に合ってほしくないから、参加しないでほしいけど・・・
でも・・・ミストガンに恩返しするために、ミストガンの弟子だったメストさんを手伝いたいって気持ちもわかるし・・・
「どうしよう〜?シリル〜」
「う〜ん・・・」
二人とも、自分勝手な気持ちじゃなくて、誰かのためにって想いだから・・・どっちも否定はできないんだよなぁ・
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