第十二幕その十一
[8]前話
サラは表情を元に戻してです、一緒にいるトミーにこう問いました。
「ところでこのお茶だけれど」
「サラさんのご主人の会社のお茶ですね」
「そう、緑茶よ」
「日本のお茶ですね」
「美味しいでしょ」
「はい、とても」
トミーもサラににこりと笑って答えました。
「お菓子にも合います」
「そうよね、あとね」
「あと?」
「このお菓子もいいわよね」
見ればもみじの形をしています、そのお菓子はといいますと。
「ここに来るまでに広島に寄ったの」
「厳島にですか」
「そこで買ったのよ」
「もみじ饅頭ですね」
「いや、これは美味しいわ」
サラは実際にそのもみじ饅頭を食べつつ言うのでした。
「全く、日本は何処にも美味しいものがあるわね」
「そうですね、確かに」
「お茶にも合うし」
「このお茶も美味しいですよ」
「主人がかなり力を入れて売ってるわ」
サラはにこりと笑ってトミーに言いました。
「これはいけるって言って」
「イギリスで、ですか」
「売ってるの、実際に売れてるから」
「それはいいことですね」
「そう、あとイギリスに帰ったら」
ここでサラはまた先生を見ました、そして。
先生にです、呆れた感じではありますがそれで優しいお顔でこう言ったのでした。
「兄さんのことお祈りしておくわ」
「僕のことを?」
「幸せになれる様に、日笠さんのこともね」
「どうして日笠さんもなのかな」
「これは気付くことも願わないと駄目かしら」
「気付くって?」
「こっちの話よ」
このことはもう言わない日笠さんでした、そして。
サラはお茶を飲んでそうしてなのでした、もみじ饅頭を食べてです。
先生にももみじ饅頭を勧めます、そうして先生のことを思うのでした。
ドリトル先生と二本尻尾の猫 完
2015・1・13
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