夏の時間(2016/03/30 一部修正)
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そんなこと言われても、マナーに厳し過ぎたら楽しさも半減だよ。周りの皆の顔を見てみると、ほぼ全員が俺と同じ思いの様な顔をしていた。
まぁ、一部の生徒は普通に笑っていたり、苦笑していたりするんだが……。その代表とも言えるのが倉橋だな。笑顔で殺センセー先生まで近付いている。
「殺センセー、マナーに厳し過ぎー。水かけちゃうよ!!」
「きゃんっ」
倉橋が両手を使って水を掛けると、殺センセーはその姿に似合わない乙女な悲鳴を上げた。正直キモい。
「……えっ?」
「何だ、今の?男が出す悲鳴じゃないだろ。キモッ」
いつの間にか俺の隣に来ていた有希子も呆気にとられた様な声を出し、俺もついつい思っていることをそのまま口にしてしまった。
そして、殺センセーの反応を見たクラス一の問題児であるカルマが、殺センセーの座っている監視台に近付き、思いっきり台を揺らすと―――
「きゃあッ!!カルマ君、揺らさないで下さい。水に落ちてしまいます!!」
これまた男の癖に女子の様なキモい悲鳴を上げ、あからさまに狼狽し始めた。
「……殺センセー。あんた、もしかして………」
「……べ、別に今日は泳ぐ気分じゃないだけだし〜。水に直接触れると体が凄くふやけるとか、動けなくなるなんてことありえないし〜」
「……その一昔前のJKみたいな喋り方やめろよ。触手生物がやってたらキモいだけだから。あと、泳げないならその手に持ってるビート板は何だよ」
「そうだよ。てっきり泳ぐ気満々かと……」
俺と三村がビート版について質問すると、殺センセーは―――
「これはビート版ではなく、麩菓子です」
「「「「「「「「「「おやつかよ!!」」」」」」」」」」
予想外の返答をして来た。何故にビート板型の麩菓子なんて持って来てんだよ!思わず俺までツッコミいれちゃったよ。
……それにしても水が弱点ってのは、よくよく考えると意外なことでもないな。梅雨の湿気で律曰く33%も顔が肥大化してた訳だし。
俺がそんなことを考えていると、浮き輪でプールを揺蕩っていた茅野がバランスを崩し、浮き輪から落ちた。
「ひー!溺れ死ぬー!!」
「ちょっ!何やってんの、茅野!!」
「背が低い上、浮き袋が皆無だから受けねぇのか!?」
「かt、茅野さん!この麩菓子に捕まって……」
岡島は兎も角、陽斗よ。お前、茅野に対してかなり失礼なこと言ってるぞ。それと殺センセーはテンパり過ぎだ。と、そんな遣り取りがされている内に1人の女子がプールに飛び込み、茅野の所に向かった。あれは―――
「はい。大丈夫だよ、茅野さん。すぐ浅い所まで行くからね」
「ありがとう、片岡さん」
そう。女子クラス委員の片
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ