夏の時間(2016/03/30 一部修正)
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
【視点:樹】
E組の体育の授業にA・Tの訓練が加えられてから1週間。日々、気温が高くなっていくせいで、クーラーのないE組校舎は灼熱地獄と化していた。
休み時間中にA・Tを使って校庭を走ることで風を感じ、多少の涼を得ることができるがそれでもこの灼熱地獄では焼け石に水でしかない。
そんな苦行を強いられている俺達に、殺センセーが最高のプレゼントを用意してくれていた。E組校舎裏にある小さな沢で自作プールを作ってくれていたんだ。
本来、E組がプールを利用する際、本校舎まで行かなければいけない。E組校舎から本校舎までの移動時間はA・Tを使えば5〜6分。歩いてだと20分は掛かる。
その移動時間が僅か1分にまで短縮されたんだ。暑さにやられていた俺達にとって、これを最高のプレゼントと言わずして、何と言えばいい?
まぁ、そんな訳で俺達E組生徒は殺センセーの指示で、水着に着替えてから移動していたこともあり、殺センセー自作プールに着くと、着ていたジャージの上着を脱ぎ捨ててプールへと飛び込んだ。
………あれ?よくよく考えると、全員準備運動をしていない。これって、普通に考えたら拙い様な………。まぁ、いいか。
それにしても、椚ヶ丘中学の女子の水着は結構特徴的だな。クォーターパンツと一体になった競泳用の様な水着だ。女子用水着がこんな仕様になっている中学はかなり珍しいと思う。あと―――
「改めて思うけど、渚。お前、本当に男だったんだな」
「イッキ君、それを今更言うの!?」
「いや、俺だけじゃなくて他の皆も結構思ってたことだと思うぞ」
抗議してくる渚に対して俺がそう告げると、近くに居た中村と不破が超頷いていた。ってか、岡島はプールサイドで何やってんだ?盗撮にしては堂々とし過ぎだろ。
………有希子も撮ってるならメモリースティックごと寄越せ。金なら最高50万までなら払ってやる。と、そんなことを考えているとホイッスルの音が聞こえてきた。
「木村君!プールサイドを走ってはいけません!!転んだらどうするんですか!!原さんと中村さんも!潜水遊びは程々にしなさい!!溺れたかと思ってしまいます!!
岡島君もカメラを没収!挟間さん!読書ばかりではなく、泳ぎなさい!!菅谷君!ボディアートは一般のプールなら入場禁止になりますよ!!」
………何かリオのカーニバル的なリズムでホイッスルを吹きながら、小姑の如く小煩い説教を始めた。う、うぜぇ……。
「自分の作ったフィールドで王様気分になるのは分かるけど……」
「うん……。感謝の念が薄れるよね」
「ヌルフフフ。自然を生かした景観選びと間取り設計。皆さんにはこのプールに相応しく整然と楽しんで貰わなくては」
いや、殺センセーよ。ドヤ顔で
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ