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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
6.羽ばたく時を信じて
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保有し、強力なアスタリスク所持者によって構成されたエタルニア軍は世界でも最強の軍隊と囁かれる。科学技術も世界最高水準にあり、神の庇護もなしにここまで高度な生活を営んでいる国は非常に珍しい。

 現在では正教との関係も融和傾向にあり、また隣国からの魔物討伐要請に快く答えてくれることから、正教圏内では評価が高い。治世も行き届き、土のクリスタルを用いた医療技術の発達から別名「不死の国」とさえ呼ばれている。

 そして、それらの改革を図った者こそ、エタルニア公国の実質的国家代表である『聖騎士』、帝国大元帥ブレイブ・リー。
 そして、エタルニア最強の剣にして盾、更には指導者まで務めるその男にはやんちゃな一人娘がいた。

「やぁぁーーーッ!!」

 二人の剣士が、練習場で激しい火花を散らす。
 一人は赤い服の少女。美人というよりは可愛らしいと呼んだ方が相応しい彼女だが、その気合と太刀筋は常人ならざる力が滲み出ている。
 だが、それに相対する緑の着物を着た長身の男は、それを同じ刀の一撃で払いのけた。

「気迫ばかりで太刀筋が荒いッ!!」
「キャアッ!?………くっ、まだまだぁッ!!」

 弾かれた剣を構え直し、少女は再び攻勢に出る。
 二度、三度、四度。幾度となく衝突しては火花を散らす刃と刃。
 だが、どちらが優勢なのかはだれの目に見ても明らかだった。何故なら、少女はあちこち走り回っているのに対して、長身の男はその場から一歩も動かずに攻撃をいなしているからだ。いくら相手が少女だとは言え、尋常な剣士ではこうはいかない。その事実ひとつとっても、長身の男が只ならぬ実力を秘めているのは明白だ。

 この風景――激しい剣の練習風景は今に始まったことではない。少女が幼かった頃から、ずっと長身の男に剣術を習っていたのだ。男は少女の剣術師範なのだ。故に、剣を交えれば相手の考えていることがある程度伝わってきた。

「剣に邪念が混じっているな……おおかた、父のことを考えていたのだろう?」
「むぐっ!べ、別にそういうわけじゃ……あります、けど」
「いつもいつも訓練ばかりで頼られていないと感じたか?」
「むぐぐぐっ……か、感じました」

 恐らく思いっきり顔に出てしまうだろうからと少女は渋々指摘を肯定する。
 彼女は事実、燻っていた。
 同門の仲間たちは次々にアスタリスクを託されて正規軍で戦うなか、自分だけこのエタルニアの地で来る日も来る日も練習三昧。父親の役に立ちたいという思いならだれにも負けないし、軸力もついてきた自負がある彼女にとって、この環境は快くないものだった。
 そんな彼女を、師は静かに諭す。

「イデア。ブレイブは別に君の事を認めていない訳ではない……それは分かってやれ。あれは昔から口下手なんだ」
「分かってますよ、カ
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