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韓蛾
2部分:第二章
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「よいだろうか」
「貴女さえよかったら」
「それでしたら」
 韓蛾はその言葉を聞いて静かに笑う。実に穏やかな笑みだった。
「喜んで」
「いいと申されるか」
「歌い手にとっては自分の歌が口ずさまれること程嬉しいことはありません」
 その小さな声で述べた。やはり普段は物静かである。
「ですから。是非」
「ではこれからも」
「歌わせてもらいます」
「どうぞ。そうして頂けることこそ私が一番嬉しいことですから」
「ではな」
「これから。歌わせてもらおう」
 こうしてこの街では韓蛾の歌が歌われることになった。これは何時しか斉の国の隅から隅にまで広がり斉では歌が好かれるようになった。心の底から出されたものは人の心に残り続けるという。そしてそれは何時までも残る。韓蛾の話はそういう話であろう。


韓蛾   完

 
                    2008・9・7

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