次なる一手
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
然だった。
「……こんなの、充分対応できる」
―――晴れた水煙の向こうに、グラトニーの姿が見えなければ。
「すごい! すごいわグラトニー! どんなエレメリアンをも沈めてきたブルーの槍を防ぐなんて!」
「最高だぁ! テイルレッドちゃんは最高に可愛くて、グラトニーは最高に強いなんて!」
「……え? あれ? 当たったわよ、ね?」
「う、うん。当たったみたいだけど……?」
右手がところどころ、打ち据えたかのように赤くなり、別箇所にあざが出来ている以外は、特に変化や怪我など無い様子。
しかし、だとするとどれだけ丈夫なエレメリアンでも、一突きのもとに貫くテイルブルーの『エクゼキュートウェイブ』を、ただの拳一発で沈めた事になるが、いくらなんでも企画外すぎないだろうか。
……そう、コレにはからくりがある。
「……感覚、つかんだ。次で決める」
技を新たに作り出す為、まずは右手に意識を集中させ、その技を試していたというからくりが。
グラトニ―のつぶやきの真意をだれも汲み取れず、何が起きたのかと首をかしげる者たちや、安堵して溜息を吐いたり、先の如く声を上げる者たちに囲まれる中……アルティロイドで感覚をつかみ、先の一撃で実用性を上げた“新たな技” を彼女は始動させる。
「フゥゥ……はあっ!!」
まず脚から膨大な量の空気を、一旦ためてから膨らませ、爆発させるイメージで放出し、ブルーへ向けて爆足で接近。
その速さは言うまでも無く、彼女から感じる圧力でさえ、ひとつ前の戦闘とは比べ物にならない。
レッドやブルーが何か言う前に、軽く弧を描いて横に陣取ると、今度は腕から風を巻き起こす。
その風は “左拳の前” で渦を巻き、その手の甲に現れた十字状の噴射口から、常に風が噴出し、目の前に滞留する特殊な空気を支え続けている。
次の瞬間、テイルブルー・津辺愛香の脳裏に浮かんだのは―――
(あれ? これなんて理不尽?)
自らの言動を棚に上げた思考だった。
「風撃颯!!」
風を打ち抜き穿たれる拳は、まさしく疾風の如くな速度ながら、しかし大砲の様な破壊力を感じさせる。
グラトニーは、拘束技に続く第二の接近戦用の技を編み出し、ブルーへと遠慮なく叩きつけた。
……ぶつかる紙一重前に、だが。
「のっぷぅぅうわあああああっ!?」
「うおおおおおおおおっ!?」
それでも衝撃波と爆風は彼らを襲い、ゴロゴロ転がって行ってしまった。
グラトニーは虚空へと顔を向けて、どこか納得のいかない表情こそしていたが、深い深いため息の後、顔を下す。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ