暁 〜小説投稿サイト〜
STEINS;GATE 罪滅恋愛のリペンタンス
永久消滅のベータ
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「分かってくれ……」

 俺は絞り出すように、もう一度言う。足掻きたくなるのも、認めたくないのもわかる。でも……無理なものは、無理なんだ。
 しかし、ルカ子の口から出てきた言葉は、意外なものだった。

「岡部さんだけが、背負うなんてボクは嫌です……。岡部さんが足掻いたことは分かりました。まゆりちゃんをどうやっても、助けられないことも……。でも、僕だけのうのうと生きているなんて、嫌なんです!!」
「嫌も何も、それしかない。俺がまゆりを殺したんだ」
「違うんです!! ボクだって、まゆりちゃんを見殺しにしたんです……」

 ルカ子の目から涙が再び溢れ出る。俺は端正な顔が濡れていくのをじっと見ていた。

「だがお前は何も……」
「まゆりちゃんが死ぬ未来を、世界を変えられることを知っていながら、何も出来なかったんです。ボクも、まゆりちゃんを殺したんです……ボクにだって責任はあるんですよ……岡部さん」
「……」

 俺ははふと紅莉栖の言葉を思い出していた。俺の他に、世界から孤立した存在がいる。選んだ人を助けてやれ。でないと、選択の意味を見失う。
 この選択の意味は、逃げだ。鈴羽に託された使命に、まゆりの死に、みんなの想いに背を向けた。その代償として与えられるのは。
 この世界線において孤独になること。罪を永遠に償い続けること。その該当者は俺一人じゃない。目の前で泣いている、漆原るかもだ。
 そう、俺たちはーーーー。

「ボクたち……共犯者なんですよ……」

 残酷で、簡素で。
 半端じゃない重さを秘めた3文字。
 その意味を俺は噛み締める。俺達は、世界で二人ぼっちなんだ。決して裁いてくれない罪を背負い続けなくてはならない使命を、一生をもって果たさなくてはならない。そんな罪を持っているのは、俺たちだけだ。
 
「ボクも、岡部さんと一緒に……背負いたいんです。岡部さんとずっと一緒にいたいんです……! 好きだから……」

 ルカ子目は濡れていた。でも、奥で揺れている瞳は真剣だった。きっとここで止めろと言っても聞かないだろう。それに、俺は求めていた。今までずっと一人で戦ってきた。誰にも理解されず、一人で背負い続けていた。
 でもそれももう、終わりにしよう。俺の、岡部倫太郎の戦いは終わったんだ。

「わかった……背負おう、一緒に」

 俺は、ルカ子をきつく抱き締めた。相変わらず細い身体だ。でもとても暖かくて、心地よかった。同じ負い目を感じているもの同士、生きていく覚悟は出来た。もう、大丈夫だ。
 ごめん、まゆり。許せとは言わない。でも……俺はお前を忘れない。お前のことは絶対に、忘れない。お前を殺した罪は、背負っていくから。良かったら俺たちを見守っていてくれ。
 ありがとう、まゆり。ごめん、まゆり。


 
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