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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
ジャック
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から、お前たちには俺を恨む権利がある、って」
「そんなことはしないって、こっちも言った」

ムカッとしたのか、頬を少し膨らますウィラ。そのまま少し向き合っていた二人は、同時に噴き出して笑い出す。

「ま、そうだな。そこまで言うなら、俺はもう気にしないことにする。だからウィラも気にすんな」
「分かった。じゃあ、そういうことで」

もうこれ以上ジャックの件について引っ張らない。そう二人の間で取り決めをすると、再び視線をジャックたちに戻して、話を始める。

「それにしても、やっぱりジャックは子供たちに好かれてるよな」
「うん、何せジャックだから」
「ジャックだもんな」

ジャックだから、という理由だけで彼が子供に好かれる理由の説明には十分。もはやそれは誰もが共有している考えなのだろう。

「それじゃあ、この後は前に言った通りで大丈夫?」
「ああ、問題ない。今の状況なら俺たち六人が本拠にいなくてもどうにかなるし、最悪どっかの魔王が攻め込んできてもアジ=ダカーハは残していく予定だから」
「・・・もし魔王が攻め込んできたら、むしろかわいそう」
「勝ち目がかけらほどもないからな」

アジ君でもなく、アジさんでもなく、アジ=ダカーハを残す。一輝がそう言ったのは、本拠にいるのは一輝の檻の中にアヴェスターのみを残した状態であるからだ。つまり、アヴェスターこそ使えないもののそれ以外は全盛期の彼その物。本当に、魔王が攻め込みでもしようものなら覇者の光輪(タワルナフ)一撃で消し飛ぶ。かわいそうになるのも仕方ない。そして、たかが本拠の護衛にアジ=ダカーハを残す一輝もどうなのだろうか。

「あ、万が一のために蚩尤も残してるんだった。今は武器庫にいるけど」
「待って、カズキはどんな敵を想定してるの?」
「新たに誕生した人類最終試練、とか?」
「冗談でもダメ・・・」

本気であきれた様子のウィラを見て、一輝は首を傾げる。まあ最悪の可能性を考えるというその行為そのものはいいことなのかもしれないが、それにしたって、ということだろう。そしてもし仮に人類最終試練の魔王が出てきたとしても、アジ=ダカーハ一人で十分である。少なくとも一輝が駆け付けるまでの時間くらいは稼げる。

「はぁ・・・でも、問題ないならこのままいく方向で」
「ああ、勿論行かせてもらうぜ。ウィル・オ・ウィスプからのお招きなんだからな」

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