アインクラッド編〜頂に立つ存在〜
閑話 咎を背負う者
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ると、ソレイユはそのプレイヤーの首をめがけて抜刀した。それを防ぐことも避けることもできずに食らってしまったプレイヤーは、赤かったHPをゼロにしてこのゲームから永久に退場した。それを見つめるソレイユの瞳は悲しみも、怒りも、喜びも、後悔の念すら感じさせないほど無感情だった。ポリゴン片が完全になくなるとソレイユは一瞬だけ目を瞑り、PoHに向きなおると有無を言わせぬ口調で言った。
「誰も武器を捨てないということは、全員死を希望することと受け取ってもいいんだな・・・。」
◆
現在の時刻はお昼を少し過ぎた頃であった。ルナやアスナ、キリトといった討伐隊に参加したメンバーは≪ラフィン・コフィン≫討伐作戦が終了後、各々帰路についた。休息を得てからいろいろ話し合うことにしていた。話し合う内容はソレイユの処罰に関することであった。
あれからソレイユが立ち回ったことにより≪ラフィン・コフィン≫を討伐することができたのだが、問題が発生した。それがソレイユの犯したことである。≪ラフィン・コフィン≫を討伐する際、ソレイユがメンバーを殺した数は十五名にも及んでいた。ソレイユは警告に従ったものは殺さずにいたが、それでもこの人数は多すぎた。そのことに関して厳しい意見が出たが、それは日を改めて、ということになった。
そして、≪ラフィン・コフィン≫討伐作戦が行われた次の日に再び一堂に集まりソレイユに対しての処罰を意見し合っていたが、処罰を与えるという声が上がっても、ルナの「誰かが背負わなければいけないことを彼一人に背負わせておいて、処罰まで降すのは間違っている」という言葉が響き渡ると、誰しもが言葉を失った。もちろん反対する者もいたが、ルナだけではなく、アスナやキリトといったソレイユを深く知る者たちがソレイユの弁護に回ったため、結局のところ、ソレイユに処罰は与えられなかった。
この時ソレイユの背負ったものの大きさは誰もわからなかった。人の命とはあまりにも脆く重いものなのだ。一緒に背負うなどだれもできないその重みを背負わせてしまった、という罪悪感がソレイユを深く知る者たちに与えてしまった。
なぜそうしたのか、それを理解できるプレイヤーがはたして何人いるのだろうか。そして、彼が≪ラフィン・コフィン≫討伐後にぼやいた言葉の意味を知るものは果たしているのだろうか。
「剣を握るのなら、覚悟くらい持てって話だ。それができないんだったら、剣なんか持つんじゃねぇよ」
咎を受けた太陽はどのような景色を見ているのか。それは本人しか知り得ない。
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