暁 〜小説投稿サイト〜
鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
5.君はもっと強くなる
[6/6]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話

 ザマぁみろ、牛頭め。運命の(ひと)にも巡り合えないまま死んでたまるかというのだ。そう強がっていたが、体力が限界に達して尻もちをついて倒れた。

 辛うじてつなぎとめた意識が、周囲の喧騒を聞こうとするが、まるで水中に沈んでいるかのように上手く音を聞き取れない。ただ、視界に長い金髪と俊足の刃が見えた。

 瞬時にバラバラに引き裂かれるミノタウロス。恐るべき実力だ。
 金髪の、剣士。奇しくもそれは、最後の一撃を叩き込む直前に幻視した想い人と特徴が似ていた。

 けれど――『彼女』はそんなに髪は長くなくて。
 身長もそのシルエットより小さくて。
 太刀筋は速度と手数に特化したそれではなくて――

(君じゃ、ない……)
 
 その事実を少しだけ悔いながら、直後に体力を使い果たしたリングアベルは意識を手放した。





 その日、ヘスティア・ファミリアに泣きじゃくる一人の少年と、やり遂げたような顔をして伸びた一人の青年がロキ・ファミリアの手によって運び込まれた。主神ヘスティアはまずベルに一回ビンタをし、続いて意識のないリングアベルの頭を殴り、最後に堰を切ったような大泣きで二人を抱きしめたという。

 この日の出来事を、ベル・クラネルは一生忘れる事が出来ないだろう。
 仲間の為に命を張った偉大なる先輩の雄姿を。

 この日、彼は自分の将来の夢のに、「先輩にこの恩を返して格好いいところを見せる」という内容が追加された。



 ……なお、この際に不器用ながら慰めてくれた「剣姫」アイズ・ヴァレンシュタインにちゃっかり一目惚れしており、もう一つ目標が増えていたが。

「それでいいぞベル!男の背中より美女を追いかける事が男の本懐だッ!!」
「はい、リングアベル先輩ッ!!」
「キミたちは馬鹿かぁぁぁーーーッ!!?」

 ヘスティア・ファミリアは今日も平和です。
 
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ