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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
5.君はもっと強くなる
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てのベルでは勝ち目がない。ベルは自分の実力を過信しているが、彼の強さはあくまで4層まで通じる強さでしかない。その慢心が招く結果を彼は間違いなく理解していなかった。

「もうすぐ5層……!!まだ無事でいろよ、ベルッ!!」

 5層に入ると同時に、グレート・バットが前を遮る。
 暗い場所を好む蝙蝠型魔物の翼が視界を遮った。他の魔物と複数で敵を襲い、吸血を行うのがこの連中の特徴だった。だが、リングアベルにはそれらの相手をのんびりしている暇など無い。すぐさま弓に矢をつがえ、狙いを定める。

「邪魔だ!無粋な客はご退場願おうかっ!!」

 矢継ぎ早に発射した弓が翼に次々命中し、グレート・バットは悲鳴を上げながら落下していく。翼を持つ相手に対して弓は非常に有効な攻撃手段だ。加えてグレート・バットは意外に動きが緩慢なので弓矢の素人であるリングアベルにも簡単に命中させることが出来る。元々はそのために用意したい武器でもあった。
 目の前を遮る魔物を片づけたリングアベルは他の魔物をそのままに正面を突っ切る。今はともかく時間が惜しかった。
 と、遠方から巨大な魔物の雄叫びが耳に入る。

『ヴォオオオオオオオオオオオアアアアアアア!!』
「この声……聞いたことはないが、ミノタウロスだな!?この層でこんな雄たけびをあげる魔物はいない……あっちか!!」

 この迷宮はそれなりに複雑な構造をしており、マップを頭に入れてない人間が入れば袋小路に辿り着きやすい。そしてベルの突発的な行動に、十分な下調べと装備が整っている可能性は低い。
 日記ではベルは助かっていた。だからと言ってこれから助かるとは限らない。
 ならば見捨ててなるものか。徒労に終わったのなら笑って済ませればいいのだ。

 そのミノタウロスを倒せるかは分からない。だが楽観論は勇気を以って否定する。
 自分でも驚くほどの衝動と熱に駆られ、リングアベルは矢の切れた弓を放り出して疾走した。
 そして、とうとうその少年を視界に捉えた。 
 白い髪、赤い目、兎を彷彿とさせる――

「ベルゥゥゥゥゥゥゥッ!!」
「り、リングアベルさんッ!?こ、こっちに来ちゃ駄目です!!」
『ヴアアァァァァァ………?』

 今にもベルに襲いかかろうと丸太のような腕を振り上げる、醜悪なる牛闘志。あれがミノタウロスだろうと理解すると同時に、リングアベルは槍を引き抜いて構えた。先ほどの大声でミノタウロスの注意がこちらに逸れたからだ。

「そうだ牛頭ッ!こっちに色男がいるぞッ!!」

 ――周囲には誰の気配も感じないため、今のところ助けは望めない。だが、噂によるとそろそろロキ・ファミリアが遠征から戻って来るらしい。このミノタウロスがそれから逃げてきたのなら、ロキ・ファミリアがそろそろこの層にも来るという
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