暁 〜小説投稿サイト〜
問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
手合わせ
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
とある日のノーネーム。建物から少し離れたところに一輝と十六夜はいた。
お互いに向き合って拳を握り、一瞬の沈黙が流れ・・・同時に動く。
地面を踏み込み、拳と拳がぶつかる。その衝撃でどちらも後ろに跳ばされ、十六夜はその先に合った木を蹴って再び跳ぶが、一輝は横に跳んでしまったので空振りに終わった。
十六夜は自分の拳で倒れてしまった木を無視して一輝のとんだ方を見るが、その瞬間に青筋を立てる。ニコニコとしながら手を振っていたのだから当たり前だろうが。

そんな理由からイラッとした十六夜だが、しかしそれでも突っ込むことはなかった。少し前までの彼ならともかく、今の彼からは慢心と言ったものは消えている。
自分より強いやつが、このコミュニティだけでも一輝、湖札、アジ=ダカーハと三人はいるということを知っている。その点から彼は慢心と言ったものを捨てている。格上に対してはもう下手に動くことはない。
一輝は十六夜のその様子を見て感心したのか、そんな表情を作り、次の瞬間には十六夜の視界から消える。

それにはさすがの十六夜も表情を変え、どこに行ったのかとまず右を見る。そして、その瞬間には左から殴り飛ばされた。
日本人の習慣ゆえか、それとも利き腕が右手だったのか。なんにしても右から確認してしまったために十六夜は攻撃を喰らい、再び飛ばされて木にぶつかって軽く口の端から血を流す。それを拭い地面に手をついて立ち上がると、どうするか少し考える。このまま続ければ、今日の手合わせも何もできずに敗北して終わってしまう。それだけは避けねばと考えて・・・結局何かできそうな手は一つしか浮かばず、それを実行する。

一輝にしてみればそれは何か考えていたと思ったら急に突っ込んできた、というような状況なのでさすがに一瞬目を見開いて固まったが、手合わせの最中にそのままでいるわけにはいかない。すぐに頭を切り替えて構える。十六夜がしてくるとしたら何であるか、それをこれまでの手合わせから考え、どれがきても対応する手段を立てて・・・そのどれでもない一手を打たれ、その驚きと内容から行動を停止してしまう。
十六夜の打った一手はとても単純。立つ際に握りこんだ砂を一輝の目にめがけて砂を投げつけたのだ。この上なく単純であるその一手なのだが、しかし今回についてはそれがとても効果を出した。

まず一つ目に、一輝は何が来ても対応できるようにと『目をしっかりと開いていた』。当然ながら砂も入りやすく、一輝の視界は塞がれた。その上に反射的に体が固まってしまったので、隙もできた形だ。
そして二つ目に、それがこの上なく十六夜らしくなかったということだ。十六夜といえば真正面からぶつかってくる、そんな印象を抱いていたところに砂による目つぶしだ。その驚きはかなりのものになるだろう。

そんな形で、これまでの手合わせで
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ