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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
4.アイツは人気者?
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瞬間、受付嬢は顔を引き締めた。彼女の子のような顔は初めて見る。

「リングアベル、私はリングアベルに変な事に関わって欲しくないデス。だから言っておきますガ……ウロボロス・ファミリアの話は基本的にこの町ではタブーデス。それを理解したラ、それ以上は知る必要はありまセン」

 彼女にしては珍しい強い口調。それほどにウロボロスという名はこの町で特別な意味を持っているらしい。そして、口ぶりからすると「知らなければ知らないままでいい」と暗に忠告していた。どうにもこれは洒落にならない話題らしいと察したリングアベルは、それ以上の追及を打ち切った。

「………ふむ、情報ありがとう。是非お礼がしたいのだが、次の休みに一緒にランチでも如何かな?勿論代金は俺が持とう」
「そ、そんナ……悪いデス……!」

 そしてこの変わり身である。リングアベルもリングアベルだが、モジモジしながらもあっさり流される受付嬢も大概の春頭なのかもしれない。実際、隣の窓口のエイナは「またやってるし……」と呆れた溜息を吐いている。受付嬢はいつ死ぬとも知れない冒険者に深くかかわることを好まないのだが、逆にその壁がリングアベルを燃え上がらせているのかもしれない。
 と、そんなリングアベルの背後に声がかかる。

「リングアベルさん!僕の用事は終わりました!」
「ン……そうか。俺も一通り終わったところだ。では愛しのホームへ帰るとするか!それなりにまとまった金になったし、女神様もきっと喜ぶぞ?」
「本当ですか!?待っててくださいね神様ぁーーっ!!」
「おいおい、そんなに焦らなくても女神さまは逃げないぞ?デキる男は慌てないものだ!……では、名残惜しいが今日はさようなら!食事の件は前と同じ場所でいいかな?」
「ハ……ハイ!楽しみにしてマス!!」

 白い髪を揺らしてはしゃぐベルを追うように笑いながら歩いていくリングアベルは、ナンパ師でありながらも兄のようでもあった。そんなに似ていない二人だが、案外と根底にある思いは近いのかもしれない。
 そのどこか微笑ましい光景に、周囲の冒険者のリングアベルに対する不信感も少しずつ薄れていった。

 その道すがら、リングアベルは首筋がザラつくような嫌悪感を覚え、反射的にその嫌悪感を感じた方を見た。そこには、ダンジョンに蓋をするように悠然とたたずむ巨大な塔――神々の住まうバベルがあった。

「女性の視線ならば大歓迎だが……嫌な感覚だ」

 この嫌悪感は、ひょっとしたら自分の過去と何か関係があるのかもしれない。そんなことを漠然と考えながら、リングアベルはベルの背中を追った。



 = =



 白い少年は濁りのない透き通った魂を持っていた。だからこそ惹かれた。
 だが、白い少年の後ろにいるあの青年もまた、違う意味で興味深い
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