第一話
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らと特に深い意味もなく私を誘ったのだろうが、この際はっきり言ってしまえば私が求める彼女たちとの関係は、
友達ではなく、知り合い以上友達未満の関係なのだ。
誤解なきよう言っておきたいのだが、私は別に彼女たちが苦手だと思う事はあっても決して嫌いな訳ではない。いや、むしろ好ましく思っている。(ただし一名を除く)
なのになぜか?
答えは、自分には決して知られてはいけない秘密があるからだ。
特に“菜々星を含めた”四人の少女たちには。
なので出来れば断りたい。
しかしあの時、『まさか断らないわよね?』と、無言でこちらを睨み付けてきたアリサの顔を見たら、とても断れない。
さてどうしたものかと考えていると、ブレザーの内ポケットが2回ほど振動するとピタリと止まり、私はそれに思わず目を細め内心で舌打ちをした。
今が昼休みではなく、授業中であったのが幸いだった
もし、アリサ達が今の遥の表情を見たら、自分の目を疑ったかもしれない。
それほど、普段からは考えられないほど遥は冷たい表情をしていた。
そう、まるで感情のない機械のような表情を。
いけないと、すぐに表情を戻す。
時間にすれば一瞬、危なかった。と私は内心の動揺を隠し、視線だけ菜々星の方に向ける。
相変わらず菜々星は真剣な表情で前を向き、ノートに板書していた。まさに優等生といった佇まい、これで性格が良ければ、とつくづく思う。
少し脱線したが、菜々星はどうやらこちらの一瞬の変化に気付かなかったようだ。
心の中で安堵の息を吐くと教室の時計で時間を確認する。
授業が終わるまで三十分ほど“2コールで切られた”ということは緊急の用件ではない。なら、大人しく次の休憩時間まで待った方がいいだろう。
「では次の問題を……倖月さん」
「!? は、はい!」
「どうしました?次の問題を解いてみてください」
「……すみません。どの問題ですか?」
「立ってなさい」
「……はい」
一日に二回も立たされるのは初めてなんじゃないだろうか?
そんな私を、菜々星は冷めた目で、すずかは苦笑し、アリサは呆れたように見ていた。
授業が終わり、先生にそのまま説教をされそうになった私は、「花を摘みに行かせて下さい」と告げ、返事も聞かぬまま急ぎ足でトイレの個室に入り鍵を閉めた。
内ポケットから先ほど振動した耳介型補聴器のような機器を取り出し、右耳に付け、中央に付いているボタンを押す。
コール音が聞こえてきてから待つこと数秒、
『ハロー、ハルカ♪』
『用件は?』
『つれないわねぇ〜、1カ月ぶりの通信だっていうのに〜、お姉さん悲しいわ〜』
『悲しいわ〜、じゃない!学校にいる時間帯は通信してこないっていう約束だったでしょ!』
『怒らない怒らない。何事にも寛容なのが良い
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