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文字
1部分:第一章
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皇帝にとっては衝撃だったのだろう」
「文字は人を殺すもの」
「そのことをお知りになられたのだから」
 こうだ。あのサインのことを話すのだった。
「仕方のないことだがな」
「だが。皇帝は感受性の強い方だ」
 ネロの性格の特徴だ。彼は繊細で感受性が強い。それは芸術を好む趣味にもなっていたがそれと共にだ。彼をやや躁鬱のきらいにも導いていたのだ。
 彼等もそのことを知っているからだ。ネロを心から心配して囁くのだった。
「このままではな」
「今は大丈夫でも政務に滞りが出るぞ」
「危ういな、このままでは」
「皇帝だけでなくローマ自体が」
「ローマとて安泰ではないのだ」
 確かに栄えている。しかしだった。
「ユダヤの者達の反乱はくすぶり続けている」
「ゲルマニアの地の野蛮人達もいる」
「パルティアも厄介だぞ」
 ローマにも外敵はいた。特にパルティアだった。東の彼等の存在はローマを常に悩ましていた。

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