九校戦編〈下〉
九校戦五日目(2)×雫の準備姿とほのかと織斑兄妹との思い出
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戦席で試合開始を待っていた深雪であった。隣にいたほのかから、問い掛けられたがエイミィの試合でも一真がモニター室に上がる直前に別れているからだ。同じ学校の選手なら、モニター室から応援してもおかしくない話なのだが。
「ピラーズ・ブレイクは個人戦ですもの。私と雫はいずれ対戦する事になるのだから、手の内を盗み見るのはアンフェアでしょ?それにお兄様の策も見ない方が楽しめますからね」
「あ、そう言う事か。深雪も雫も技術スタッフは一真さんだもんね、それぞれに違う策があるからここならどういう風に使うのか目視だけが頼りという事?」
「そうですよ。そしてお兄様の策には、今まで見てきたであろう先輩方でも驚くと思いますよ」
手の内というのは、一真からの氷柱を破壊する場面を見る時は壁に覆われていたので、見る機会はなかった。第一高校といえど、この競技の練習に使える大規模施設をいくつも持っている訳ではないが、蒼い翼関連で秘密裏に使っていた秘密の地下空間があるというのを知っているのは、一真が担当する者達だけだ。深雪が本当に言いたい事は、いずれ対戦する相手選手のサポートをするのに、気を使わないでほしいからである。
ほのかと雫は小学生時代からの親友でありライバルだったと聞くが、中学時代までほのかにとっての最高好敵手は雫であると同時に雫本人も最高の好敵手はほのかだった。二人に比肩し得る魔法の才能を持つ子供は、彼女達のコミュニティに存在はなく高校に入ってから本格的に魔法を学ぶ事。お互い以外の切磋琢磨するライバルが得られる事を、ほのかも雫も望んでいた。それと同時に、自分達以外の才能には巡り会えないのではないかという思いを彼女達の心の片隅に棲みついていた。
同じ学校、同じ塾に十師族の子供はいなかったが『数字付き(ナンバーズ)』の百家の子弟とは何人か知り合った。その中にも、好敵手と呼べる同級生はいなかった。しかし彼女達の『思い上がり』は、高校の入学試験で粉々に打ち砕かれた。ほのかの隣にいる深雪によってだが、定期試験におけるほのかの実技試験は、深雪、雫、森崎に続いて四番目だが、ほのかとしては雫はともかく森崎に劣っているという意識はなかった。高校最初の定期試験の課題になったのは十工程の単純な術式だったが、単純と言えるのはほのかの才能あっての事。処理に負荷が掛からなかった分、単純なスピードで森崎に後れを取っただけで、もっと工程数の多い複雑な術式なら自分の方が明らかに上だと考えていた。
しかし深雪は最早異次元並みであり、一言でいうなら『別格』だったとも言うだろう。嫉妬する事すらあった程な、圧倒的な才能の持ち主であるのと圧倒的な実力。もし深雪が十師族直系だと言われても、ほのか自身は素直に信じてしまう。むしろ一般的にそれが当然だと思う。入学試験の会場にいた一真と深雪は、中学
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