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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
3.地上の兎、迷宮へ
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見比べて「やはりこの少年が!」とか「間違いないよね?ないよね!!」などと勝手にテンションを爆上げしている。なんのこっちゃ分からない少年はただ目の前の二人にオロオロするばかり。

 ひょっとして難癖つけられてる?などと疑った少年に、リングアベルが突然ビシッ!と指を差して詰問した。

「少年!君はひょっとして、所属するファミリアを探しているのではないか?」
「え………は、はい!僕、この町に来たばかりで右も左も分からなくて……」

 何でわかったんだろう?と不思議そうに少年が首を傾げるのを横にヘスティアがずずいと前に出る。

「少年!キミの名前はひょっとしてベル・クラネルと言うんじゃないかい!?」
「ええっ!?な、なんで僕の名前まで分かるんですか!!」

 反射的にヘスティアから距離を取ってしまった少年だが、2人の追跡は止まることを知らない。

「少年!!君はダンジョンに出会いを求めるロマン溢れる男か!?」
「ひぃぃぃ〜〜!?目的までバレてるぅ〜〜〜!!!」

 見ていてちょっと可愛そうになるような、嗜虐趣味を掻きたてられるようなくらいに見事なビビリっぷりで後ずさりする少年だが、後ろにあるのは壁。少年は二人にじりじりと追い詰められていたのだ。
 ゆっくりと忍び寄る二人の影に、少年の動揺はピークに達するどころが段々恐怖に変わってきていた。

「ねえ僕なにか悪いことしました!?お、お金はあんまり持ってないんです!ゴメンナサイゴメンナサイ許してくださいっ!!」
「フフフ……欲しいのはお金とはちょっと違うんだなぁ、ベル・クラネルよ………」
「そう、お金は出してもらうさ……だけどそれは今じゃない。これから身体でじっくり……」
「フフフフフ………!」
「うふふふふ………!」
「嫌ぁぁぁぁ〜〜〜〜!!誰かぁぁぁ〜〜〜!!」

 まるで暴漢に襲われた少女のような――いや、実際に絵面的には幼気(いたいけ)な少年を怪しい笑顔で追い詰める不審者なのである意味間違ってないが――悲鳴を上げる涙目な少年に、悪乗りが過ぎたかと怪しい笑みを消した二人ははようやく決定的な言葉をかけた。
 今後の彼の運命を決定付ける、その言葉を。

「少年!!美しき女神ヘスティアの下で、俺と同じようににダンジョンに浪漫を探究しにいかないか?」
「いのちだけぁ………あ、え?」
「ボクはこの町でファミリアを抱える神様の一人なんだけど、ウチに入らないかい!?」

ぴきっと固まった少年は、脳の処理が追いつかないのか暫くフリーズしたのち――


「か、神様ぁああああああああああああっ!?」


 その日、神住まう土地オラリオに一人の駆け出し冒険者の悲鳴染みたナイスリアクションが響いた。
 ベル・クラネル。リングアベル。
 二つの(ベル)が、
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