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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第十九話
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怖気づいたように。
 そんなキラーアントたちに目もくれず、レイナは真正面からリリを見て言う。

「私から言える事は三つです」

 再び蘇ってきた痛覚に身を竦めるリリに構わずレイナは宣告する。

「一つ、また罪を重ねてしまいましたね。例の一件で思い知ったと思っていましたが、そういう訳でも無かったようです。まあ、後悔に満ちたその顔を見れば不本意だったというのは解りますが」

 血で塗れ醜く腫上がっているリリの顔だが、本人の無意識で衷心が表に表れていた。それを指摘されて驚きと共に顔に手を這わせたリリに、重ねて言う。

「二つ、少しはベル君に頼れば良いでしょうに。キミ一人で解決できない問題があるなら、周りの人に助けを請うべきです。具体的な問題を知らないので強く言えませんが、相談するくらいなら出来たはずです」

 確かにリリはファミリアの事情で大金が必要だとベルに伝えている。だが、逆に返せばそれしか伝えていない。あたかもベルのサポーターとして就ければ問題ないと言わんばかりに、それしか言わなかった。今回の件もその話で釣った。
 具体的な解決に繋がらなくとも、誰かの今自分が置かれている状況を話すだけでも心理的ゆとりは得られたはずだ。少なくとも、ベルを殺すような凶行に走らない程度には。

「三つ、キミは報われるのが遅いだけです。さっきこの人たちの会話を聞きましたが、キミは小さい頃からずっとファミリアに属してサポーターとして働いていたそうですね。不幸な境遇だったと言わざるを得ませんが、キミはそれ相応の努力をしてきたんですよね」

 耳が聞こえていないときにそんなことを言っていたのか、と地に平伏す男たちを見るリリ。そこでレイナははっきりと告げた。

「なら、報われるべきです」
「……は?」

 言も無さげにあっさりと告げられた言葉に、リリは言葉を漏らす。そして、次第にふつふつと苛立ちが湧き上がった。

 そんな簡単に報われたら、リリはこんなに苦しむことは無かったと。そう叫びたかった。そう叫ぼうとした時だった。

『──────ぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!!!!!』

 通路の奥、八階層の連絡路の方から、途轍もない絶叫が響き渡ってくる。その声に聞き覚えがあった。

 何で。何で、よりにもよって貴方が……!?

 驚愕に目を見開くリリ。だが、レイナは予め知っていたかのように驚きもせず、ただ事実として伝えた。

「これ以上私が言っても無駄でしょう。ですので、お説教はベル君に任せるとします」

 くるりと翻ってキラーアントの海を渡りだしたレイナに何か言葉を掛けたリリだったが、その直後にルームいっぱいに轟いた絶叫がリリの声を塗りつぶした。

「【ファイアボルトオオオオオオオオオオ
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