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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
五十五話 凶夜の警鐘 弐
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の言葉で萃香の戸惑いは消え去った、どんな結末にせよ勝ちは勝ちなのだ。戸惑う必要など何処にも無い。

「そんな訳ないだろう……結局あんたが何を考えていたかは知らないけどあたしの勝ちなんだ、帰らせてもらうよ――――じゃぁね」

 そんな台詞を吐くと萃香は霧となって夜闇に散っていき境内に何とも言えない沈黙が下りる。

「……それでお父様、振り出しに戻った訳だけど――――この後はどうするの?」

 沈黙を破り虚空にそう問いかける紫。その場に居るほぼ全員が手の打ち様が無い事を理解していた。

「どうするって――――これから百鬼丸の住処に強襲するんだよ、ほら紫達も早く準備して」

 そんな虚空の台詞に紫達は、

『頭を強く打ち過ぎて遂に壊れたか?』

 と、本気で思っていた。唯一の手掛かりをたった今失ったというのにどうやって敵の本拠に乗り込むというのか。一同がそんな風に疑念や懸念を抱いていると、

「上手くいったようです盟主殿…………何をなさっているのですか?もしかしてそういう御趣味が?」

 境内の暗闇から現れた天魔が、ルーミア達に踏みつけられている虚空を訝しげに見つめながらそんな疑問を投げかける。

「無いよそんな趣味は!……ってそうか上手くいったんだ、良かった良かった!」

 踏みつけから脱出し埃を払いながらそう言う虚空に、

「……お父様――――お願いだから私達にも分かるように説明してくれないかしら?」

 全く話に付いていけていない一同を代表するかのように紫が虚空を問い質す。
 虚空は一瞬ぽかん、とした表情をした後「ああ!」と呟き両手を叩く様に合わせると、

「いやーごめんごめん!説明するのすっかり忘れていたよ!アハハハハッ!」

 と、能天気に笑い声を上げた為、再びルーミアと幽香の蹴りが炸裂する事となる。













「――――つまりさっきの手合せの勝敗はどうでもよかった、って事でいいの?」

 虚空の説明を受けて最初に出た言葉は諏訪子のそんな疑問だった。

「どうでもよくは無いけど重要では無かったかな?まぁ勝てていれば手っ取り速かったんだけどね」

 先ほどの一撃で増えた傷の手当てをこいしから受けながら、虚空は諏訪子の言葉に苦笑いを浮かべながらそう答える。


 虚空が思い付いた作戦の概要は『追跡』。
 相手が口を割らないのなら案内してもらおう、と言った大雑把なものである。


「追跡するだけならさっさと解放すればよかったんじゃないの?手合せなんてする必要ないじゃない?馬鹿なの?……あぁ馬鹿だったわね」

 呆れ顔でそんな罵倒に近い言葉を投げかけるルーミアに意外な人物が横槍を入れた。

「さきほどの手合せは
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